大事なお知らせ

前十字靭帯断裂の治療福岡でもTPLOの恩恵を

前十字靭帯の断裂は、大型犬だけの病気ではありません。
断裂後元のように元気に走るには、適切な外科手術を必要とすることも。
当院の外科手術は、術後の回復が早くリハビリの負担が少ないTPLOを採用しています。

前十字靭帯とは?

ダメージ
ダメージ
前十字靭帯解剖図

前十字靭帯は後ろ足の膝関節を支えている重要な靭帯です。
この靭帯が断裂してしまうと、多くの犬が痛がり、地面に足を着くことが出来なくなります。

例えば、断裂したのが靭帯の一部であれば、内服のお薬などで症状を改善することが可能です。ただし残念ながら、数日から数年間という時間の経過とともに完全断裂に至るケースがほとんどで、その場合その犬が元のように元気に走れるようになるためには、適切な外科手術を行う必要があります。

前十字靭帯の働き
脛骨の前方変位の抑制
脛骨の内旋の制限
膝関節の過伸展の防止

断裂が起きやすい犬種

前十字靭帯断裂がよく起きる犬種の上位3種です。大型犬だけでなく、小型犬でも多発しています。

※当院での集計結果
大型犬
ラブラドール・レトリバー
ゴールデン・レトリバー
バーニーズマウンテンドッグ
小型犬
トイプードル
ジャックラッセルテリア
ミニチュアピンシャー

診断・治療の流れ

1

症状の発見

  • 歩き方がおかしい、足をあげたまま歩いている
  • 散歩を嫌がる
  • 急にキャンと鳴いた後、地面に足を着けなくなる

2

検査

症状が見つかった場合には、下記の検査を行い、原因や状態を調べます。

  • 経過の確認
  • 身体一般検査
  • レントゲン検査
  • おすわり試験
  • 関節可動域検査
  • 関節液検査
  • 脛骨圧迫試験
  • 前方引き出し検査
  • 内側関節包の線維性肥厚確認
※一部鎮静が必要な検査項目があります

3

治療

診断結果に応じて、内科療法や外科手術など適切な治療を行います。

部分断裂の場合
薬や理学治療などの内科(保存)療法で安定化させます。
経過良好の場合
経過観察、または希望する場合完全断裂の前に外科⼿術を行い断裂を予防します。
再発した場合
外科手術で完治させます。
完全断裂の場合
外科手術を行い完治させます
その他の病気
膝蓋骨脱臼、関節炎、離断性骨軟骨症、腫瘍などその他の病気だった場合は
それぞれに適した治療を行います。

内科(保存)療法について

手術が適応でないケースや術後の治療として、主に痛みのケアや関節の負担軽減を目指します。

当院の内科療法

ダイエットの指導
ダイエットの指導
鎮痛剤の投与
鎮痛剤の投与
理学療法(半導体レーザーおよび運動指導)
理学療法(半導体レーザー・運動指導)
サプリメント(アンチノール)
サプリメント(アンチノール)
装具の使用(東洋装具)
装具の使用(東洋装具)

外科手術(TPLO)について

前十字靭帯断裂の外科にはいくつかの手術方法がありますが、現在最も多くの研究結果が報告され安定的な結果を出している手術法は、脛骨高平部水平化骨切り術(TPLO)となっており、当院でもTPLOを推奨しています。

※他の手術法との違いは、担当医までお尋ね下さい。

TPLOとは

TPLO 解説図 TPLO プレートイメージ図

脛⾻近位関節⾯にあたる部位(脛⾻⾼平部)の⾻切り術を⾏い、切った⾻⽚を回転させて⾓度を矯正し固定することで、脛⾻の前⽅への滑りを抑えることが可能です

TPLOシステムとして各医療メーカーから様々なプレートとスクリューが開発されてますが、当院では固定⼒と安定⼒が最も優れたロッキングシステムを採⽤しています。

TPLOのメリット
術後早期の機能回復獲得が可能
リハビリなど、術後治療の負担を軽減

手術前後のレントゲンの様子

レントゲン 正常な状態
レントゲン 手術前(部分断裂)
レントゲン 手術後

手術後のケアについて

手術後の日数 治療場所 手術後のケア内容
術後1〜7日 基本的に入院での管理 積極的な鎮痛剤投与/アイシング処置/リハビリテーション
術後8〜14日 基本的に在宅治療 中程度の鎮痛剤投与/半導体レーザー処置/リハビリテーション
術後15日以降 在宅治療 軽度の鎮痛剤投与/半導体レーザー処置/リハビリテーション
術後の合併症
術創の感染・離開、骨折、インプラントの破綻、骨の癒合不全などの合併症が起きる場合があります。
術後の注意点
前十字靭帯断裂を起こした犬の約50%が、数日から数年後に逆の足にも断裂を起こすと言われているため、手術後の経過にも注意が必要です。