新緑が美しく、お散歩が心地よい季節になりました。
外で過ごす時間が増えるこの時期は、愛犬のちょっとした行動や、皮膚・被毛の変化に気づきやすいタイミングでもあります。
今回のコラムでは、日々の診察で飼い主様からよくご相談いただく「足裏を舐める行動」「ステロイド治療への不安」「ポメラニアンの毛並みのお悩み」という3つのテーマについて、獣医師の視点から解説します。
1. 足の裏をずっとなめているのは「ただの癖」?
愛犬が足の裏を執拗に舐めている姿を見て、「退屈なのかな?」「単なる癖だろう」と見過ごしてはいませんか?
もちろんグルーミングの一環であることもありますが、頻繁に舐め続けている場合、そこには病気のサインが隠れていることがあります。大きく分けて、以下の3つの原因が考えられます。
- アレルギー:アトピー性皮膚炎や食物アレルギーなどにより、足の裏にかゆみが出ているケースです。
- 感染症:指の間が湿ることで、細菌やマラセチア(カビの仲間)が繁殖し、炎症(指間皮膚炎)を起こしている状態です。
- 心の問題:環境の変化によるストレス、退屈、不安などから、気を紛らわせるために舐め続けてしまうことがあります。
舐め続けると皮膚のバリア機能が低下し、さらに炎症が悪化するという悪循環に陥り、治療が長引いてしまうこともあります。「足の裏が赤くなっている」「毛が薄くなっている」と感じたら、お早めにご相談ください。
当院には、アレルギー・皮膚科の専門外来を担当する川野浩志先生(非常勤獣医師)も在籍しております。長引く皮膚トラブルや、より専門的なアプローチをお求めの方も安心してご相談いただけます。
2. ステロイドを使わない皮膚の治療法はある?
「皮膚の薬としてステロイドを出されたけれど、ずっと使い続けるのは副作用が心配…」という不安の声をよく耳にします。
まず重要なポイントとして、ステロイドは強いかゆみや炎症を抑え、動物たちの苦痛を和らげてくれる非常に有効で重要なお薬です。正しく使えば決して「悪い薬」ではありません。
しかし、症状が落ち着いた後の「長期的な維持管理」においては、ステロイド以外の選択肢を組み合わせることで、減薬や休薬(ステロイドを使わない治療)を目指せるケースもあります。当院では以下のような多角的なアプローチを行っています。
- スキンケア(外用療法):その子の皮膚状態に合わせた適切なシャンプー剤や保湿剤、塗り薬などを用い、外側から皮膚のバリア機能を高めます。
- 食事の見直しと「腸活」:低アレルゲンフードへの変更や、腸内環境を整えるサプリメントなどを通じ、内側から免疫バランスを整えます。
- 糞便移植(ふんべんいしょく):健康なドナーの腸内細菌を移植することで腸内フローラを正常化させる、新しい選択肢です。
治療のゴールは、その子の体質やご家族のライフスタイルによって異なります。現在の治療に不安がある方は、一人で悩まずに当院のスタッフ、またはかかりつけの獣医師までご相談ください。
3. ポメラニアンの脱毛症、また毛は生えてくる?
ふわふわとした愛らしい毛並みが魅力のポメラニアンですが、「最近毛が薄くなってきた」「バリカンでカットしたあと、なかなか毛が生えてこない」といったご相談を受けることがあります。
ポメラニアン特有の脱毛症(いわゆるアロペシアXなど)の治療は、原因が完全には解明されていない部分も多く、発毛への反応には非常に大きな個体差があります。そのため、飼い主様とじっくりご相談しながら、治療の方針を決めていく形になります。
当院では、数種類のお薬やサプリメントをご用意しており、その子の状態に合いそうなものを段階的に試しながら、発毛の効果を丁寧に確認していきます。
⚠️ 治療を始める前の大切なステップ
毛を増やすアプローチを始める前に、まずは「甲状腺機能低下症」や「副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)」といった、他のホルモン(内分泌)疾患が隠れていないかを血液検査などでしっかりと除外することが極めて重要です。
「うちの子、少しボリュームが減ったかも?」と感じたら、まずは基礎的な検査を行い、無理のないケアの方法を一緒に探していきましょう。
まとめ
皮膚や被毛のトラブルは、命に直接関わらないように見えても、動物たちの生活の質(QOL)を大きく左右します。飼い主様が「あれ?」と思う小さな違和感の中に、改善へのヒントが隠されていることがよくあります。どんな些細なことでも、お気軽に当院スタッフまでお声がけください。
当院へのご連絡について
ご予約・ご相談はお電話にて承ります。診察のご予約はネット予約も可能です。
コメント欄や問い合わせフォームでの病気の診断や治療に関するご相談・処方は、法律上お受けできかねます。ご了承ください。
対象動物
犬・猫の診療を主に行っております。
免責事項
本記事に掲載されている情報は、一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の動物の症状や状態を診断・治療するものではありません。個々のペットの健康状態に関するご相談は、必ず獣医師にご相談ください。











