今回は、膿皮症を繰り返してしまうパグのマロンちゃんです。
マロンちゃんは尿石症を患い、食事療法で溶解し、現在維持しています。
時々外耳炎が悪化してお耳掃除に通ってもらったり、おしっこの調子が良いか尿検査に通ってもらったりしていますが、
今回はお腹の皮膚に赤い円形状のものができて痒そうと来院されました。
その時の写真です。腹側全体に赤い表皮小環と呼ばれるものができていました。
検査をすると、細菌感染が起こっています。
以前にも同じような症状での治療歴があり、抗生剤の投与と抗菌シャンプーでのスキンケアによって良くなっていました。
今回も膿皮症の再発であると診断し、シャンプーと抗生剤で治療を開始しました。
抗生剤は前回の治療歴もあったので、感受性検査と言うマロンちゃんに感染している菌にどの抗生剤が効くかというのを検査してから選択しました。
週2回のシャンプーとお薬をきちんと飲ませてもらい、だいぶ赤みが引きました。
さらに9日後の写真です。
少し腫れていたのも引いてきました。
そして1ヶ月半後•••
すっかりどこかわからないくらい綺麗なお肌になりました!
膿皮症は別名「細菌性皮膚炎」とも言われ、皮膚バリアの弱くなったところに細菌が感染することで今回のような表皮小環や湿疹などの皮膚トラブルを起こします。
気づかないうちに一気に全身に広がることも多く、気づいた時には背中からお腹まで湿疹だらけということも少なくありません。
原発疾患がなく単純な膿皮症のこともあれば、原因疾患に脂漏症やアレルギー性皮膚炎などの皮膚病があり、皮膚の状態が良くない時に細菌感染を起こし二次的に膿皮症になってしまったというケースも少なくありません。
初めて湿疹に気付いた時は膿皮症をしっかり治療した後に原発疾患をみつけてさらにケアしていかないと根本解決になりません。
日頃のスキンケア不足や季節的な湿気などで膿皮症は再発を繰り返すことも多いため、お家でのスキンケアがとても大切になります。
また、多剤耐性菌というあらゆる抗生剤に効かなくなった細菌になってしまうこともあり、治療を途中でやめるとそういった細菌を生み出すこともあります。
抗生剤もむやみやたらに使うこともできず、単純に「いつものお薬で」とも言えません。
このような理由から、皮膚のトラブルは飼い主さんの日頃のケアがとても重要な治療となります。
マロンちゃんは今回しっかりお家でのシャンプーを頑張ってもらえて綺麗に良くなりました!
今後もこまめなスキンケアを続けてもらい、繰り返すことをできる限り防いでいきたいと思います。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院
獣医師 木村