「両目が赤く腫れて目が開いてない!!」
来院したのはジャックラッセルテリアのSOYちゃんです。8ヶ月の元気いっぱいな女の子です。
飼い主様が帰宅されると、SOYちゃんの両目が赤くなって腫れていたとのことでした。
診察時の写真がこちらです。
見やすいように光を当てていますが、目の周り(まぶたの部分)が赤くなっているのが分かります。
光が当たっていない影響で分かりづらいですが、右目も同様に赤くなっています。
上の写真はアップで撮影したものですが、目頭から目を囲むように赤くなっているのが分かります。
ちなみに来院時には目の腫れはほぼ治まっており、診察が終わる頃にはほとんど分からないくらいになっていました。
飼い主様が見たときには、ほぼ目が開いてなかったとのことなので、1時間程度で症状が消えていったことになります。
目以外にも顎の下やお腹も赤くなっていました。
普段は赤くないとのことでした。
飼い主様にお話しを尋ねたところ・・・・
「バラバラになったイスの破片が散らばっていた」とのことでした。
日頃から色々なものをかじっているSOYちゃんの今回の症状は、アナフィラキシー(もしくはアレルギー性皮膚炎)によるものと考えました。
もちろん目の病気の可能性や、皮膚病の可能性も考えられましたが、
全身に急速で同時に症状が現れていたため、かなり疑わしいと考えられました。(現段階では可能性を否定できません)
おそらくイスの塗料(化学成分)が原因と考えられました。(他のものを口にしていた可能性はあります)
アナフィラキシーは、アレルゲンの暴露(吸ったり、触ったり)により、複数の臓器にアレルギー症状が起こる過敏反応のことです。
症状としては
- 皮膚 (赤くなる、かゆい、ぶつぶつができるなど)
- 呼吸器 (呼吸が苦しい、気管がはれる、ゼイゼイするなど)
- 循環器 (ふらつく、ぼーっとするなど)
- 消化器 (腹痛、嘔吐、下痢など)
上記のようなものが起こり、ひどい時には血圧が下がったり、呼吸が苦しくなったりして命に関わることもあります。
特徴としては、急速な症状発現(数分〜数時間以内)です。
さっきまで何ともなかったのに・・・とよく飼い主様に言われます。
主な原因としては
- 食べ物
- 植物
- 昆虫
- 薬剤
- 運動
- 体温
- 日光 など
上記のようなものが挙げられます。(動物ではまだまだ不明な部分も多いです)
体内の免疫システムが過剰反応することで、色々な症状が起こるためそれを抑える治療がメインになります。
そのため今回の治療は、
- ステロイド
- 抗ヒスタミン
- 胃薬
- 吐き気どめ
上記のお注射をしました。(冒頭には書いていませんが、嘔吐もしていました)
SOYちゃんの腫れや赤みは、病院からお家に帰った後に無くなっていたそうです。
帰宅後から赤くなったり、吐いたりすることもなく元気いっぱいらしいです。
SOYちゃんは幸運にも軽度の症状でしたが、大丈夫だろうと判断してひどくなることもあり得ます。
そのため、わんちゃんやねこちゃん、その他の動物と暮らしている飼い主様は、
原因となるようなもの(食事や植物)を極力避けたり(100%は無理ですが・・・)、
ワクチンなどのお薬を注射後は、注意して観察したりするようお願いいたします。(注射後は安静にしておいてくださいね!)
特に何でもお口に入れるような子は、アナフィラキシーだけではなく、異物として胃や腸につまることもあるため注意してください。
- 不用意に人の食べ物をあげない(肥満や食事アレルギー、時には中毒が起こることもあります)
- 届くところに植物を極力置かない(食べてしまうこともあります)
- 薬剤(お薬、殺虫剤、化粧品など)を届くところに置かない(異物や中毒の可能性もあります)
- 注射した日は安静(トリミングやシャンプーは3日後から、ドッグラン・ペットホテル・過剰な運動は避けてください)
- アレルギーやアトピーがある子(より症状が強く出る可能性があります)
- 昆虫が多いところは避ける(特にハチは注意です)
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○獣医師より
初めまして、獣医師の中尾です。
今年の4月よりリヴの一員になりました。
地元に帰ってきて1ヶ月で、体重が5キロ増えたので焦っています・・・(ラーメン食べすぎたかな?)
今回初めての投稿で読みづらかったり、分かりづらかったりする部分もあると思いますが、
今後も皆様に楽しく分かりやすく伝えられるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院