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太ももにおできが出来たユキちゃん

獣医師スタッフブログ 2017.09.18 UP DATE.

先日、太ももに何かできていると来院されたのは、三毛猫のユキちゃんです。

来院の前日にカサブタが出来ているのに気づかれたそうです。本人も気にしているようでした。

毛を刈ってきれいにしてみると…

きれいなドーム状のしこりができていました。表面が少しジュクジュクしています。

しこり表面のジュクジュクを少しきれいにして、スライドガラスをくっつけて見てみると…

血液に混じって、丸い青色の濃い細胞が確認されました。

さらに拡大すると…

丸い核の周りの細胞質(目玉焼きの白身の部分)に青色の顆粒が充満している像が得られました。

肥満細胞です。「肥満」細胞と言う名前ですが、肥満とは関係なく、

免疫や炎症に関係する細胞で、細胞質の顆粒の中にそれに関係するヒスタミンや酵素などを含んでいます。

アレルギー反応に関与することで少し有名です。

これが異常に採取されたことから、ユキちゃんのしこりは肥満細胞腫という腫瘍のようでした。

肥満細胞腫は基本的には悪性腫瘍です。

犬と猫で肥満細胞腫の捉え方は大きく違いますが、猫の皮膚の肥満細胞腫は単発の場合は外科切除のみでも良好な経過が望めます。

 

お腹の中の臓器(脾臓など)からの転移の可能性もあるので、レントゲンやお腹の中のエコー検査を行って除外を行ってから、外科切除になりました。

院内の顕微鏡像でも分裂像はほとんどなく、高分化型(良い方と考えてください)のようでしたが、

万が一の場合の化学療法を希望されていなかったので、周囲への浸潤も考え腫瘍周りの余裕をとって切除を行いました。

病理組織検査の結果は、「高分化型肥満細胞腫」でした。

手術時にしこりの4cm前方に1~2mmのイボのようなものが見つかったので、念のために切除して検査をしていたのですが、

こちらも肥満細胞腫でした。

どちらもマージン(腫瘍と体の辺縁、腫瘍周りの一緒に切除した正常組織)は

クリーン(腫瘍細胞が無い)という結果でしたので良好な経過が予想されますが、

イボ状病変の方も肥満細胞腫だったことから、転移や多発性の可能性が否定できないという結果でした。

すっきりしない結果ですが、現在のところ経過は良好です。

定期検診が必要になるので、細心の注意をはらって経過を見ていきたいです。

 

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