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様々な視点で日々を綴っていきます。

腹腔鏡下卵巣摘出術(避妊手術)とは?

医療機器の紹介 2018.08.06 UP DATE.

当院では犬の避妊手術を腹腔鏡という機器を使って行うことができます。

まず、避妊手術には卵巣子宮摘出術卵巣摘出術があります。
当院では以前卵巣子宮全摘出を行なっていましたが、傷も大きくなり侵襲度が高いため、近年では卵巣のみ摘出する手術法をとっています。
避妊手術は従来の
・「望まない子犬を産まないように」すること
が目的というよりも、最近では
・「将来子宮卵巣に起こる病気や乳腺腫瘍のリスクを下げること」
が主な目的とされています。
卵巣のみの摘出でもその効果があるため、当院では開腹手術のみを行なっていた時から卵巣摘出を行なってきました。
その中で昨年から当院では腹腔鏡という機器を導入し、避妊手術に活用しています。

 

今まで行っていた開腹手術と比べ、腹腔鏡下で行う主なメリット

 

①切開創が小さいので侵襲が小さい
(小型犬では開腹手術と大差がないこともありますが、腹腔鏡を使用すると小型犬〜大型犬で傷の大きさがほとんど変わらないため、大型犬になればなるほど開腹との傷の大きさの差があります)

②体内での操作になるため、臓器を引っ張って体外に出すときの痛みがない

③腹腔内臓器が外気に触れることがなく臓器の損傷が最小限なので術後の胃腸機能の回復が早い

④肉眼で見られない深いところまでスコープで細かく見ることができる

⑤縫合時間の短縮で麻酔時間が短くなる

 

といったことが挙げられます。

デメリットとしては

 

①特別な機器が必要で機器が高額なので費用がかかる

②術者が特殊な手技を習得した人に限られる
(熟練していなければ手術時間の延長にも繋がります)

③長い鉗子を使うので手の感覚が伝わりにくい

④視野に限界がある

 

といったことが挙げられます。

 

実際に当院で使用している機器は
①スコープからの映像をモニターに表示させる画像装置本体

②卵巣を切り離す超音波凝固切開装置のデバイス

③臓器を掴んで持ち上げたり、被っている臓器を避ける長い把持鉗子

④硬性鏡と呼ばれる細長いスコープ(カメラ)。これで腹腔内を写します。

⑤トロッカーを呼ばれる鉗子やカメラの挿入口となりポートの役割を果たします。

といったものがあります。
他にも気腹装置や光源装置、太さの違う鉗子や掴むためだけの細い鉗子、腹腔内をカメラで写す時に照らすライトケーブルなど様々な器具を駆使します。

 

では卵巣摘出は実際にどのように行われているのでしょうか?
流れをひととおり書いてみます。(イメージが難しいので読み飛ばしていただいても大丈夫です)

①まず、エコーで卵巣の位置を確認し、切開する場所を決め、通常の手術通りの消毒を行います。

②臍直下辺りにトロッカーが挿入できる最小限の皮膚を切開しその部分の腹壁を切開してトロッカーを腹腔内に挿入し、固定します。(当院ではこのようなオープン法をとっています)

③この第1トロッカーに気腹装置をつなぎ、炭酸ガスを腹腔内に送気してお腹を膨らませ、操作スペースを確保します。(このことを気腹といいます)

④第1トロッカー直下に②と同様に切開し第2トロッカーを設置します。

⑤第1トロッカーからカメラスコープを挿入し腹腔内を確認しながら、さらに上腹部の右側に針付きの細い鉗子を挿入し、その鉗子で卵巣子宮を少し持ち上げます。

⑥第2トロッカーから超音波凝固切開装置を挿入し、卵巣を切離します。この時、卵巣を離して腹腔内に落とさないように先ほど挿入した細長い鉗子で卵巣をしっかり掴んでおきます。

⑦第2トロッカーから5mmの鉗子を入れ、卵巣を掴み直しそのまま腹腔内から体外へ摘出します。

⑧同じように反対側もします。

⑨腹腔内の出血がないかカメラで確認し、トロッカーを抜きます。

⑩切開した腹壁と皮下織を縫合し、終了です。

 

…言葉で手順を説明すると難しいですが、

要するに、トロッカーと呼ばれるポートを2箇所設置して、そこから細長い鉗子や超音波凝固切開装置を挿入し、カメラで卵巣子宮を見ながら腹腔内で切り離して摘出する手術法となります。

実際のトロッカーを設置して手術を行なっている写真です。

このようにお腹に設置したポートから細長い器具を入れているのがわかります。

この写真では腹腔内をカメラで写し、画面で見ながら操作しているのがわかります。

術後の傷はこのように切開した傷が2箇所と針を刺したところの3箇所になります。

 

以上が腹腔鏡下での卵巣摘出術の概要になります。

なかなか専門的な話もあり、わかりにくい文章ですみません…????

デメリットに比べメリットの方が多く、動物への侵襲度が小さいので動物に優しい手術ができることから当院では犬の避妊手術で腹腔鏡での手術をおすすめしています。人医療では様々な手術に適応されており、獣医療でも近年では胆嚢摘出副腎腫瘍摘出、また胸腔内の手術などますます発展している分野でもあります。
今後、当院でもますます適応範囲を広げて腹腔鏡を活躍させていきたいと思っております!

当院で犬の雌の避妊手術で卵巣摘出を行う際は開腹手術と腹腔鏡手術をお選び頂けます。
当院の患者さんではない他県から腹腔鏡の避妊手術のご依頼でのお問い合わせもいただいております。

避妊手術をお考えの方で腹腔鏡手術についてお聞きになりたいことがあればいつでもご連絡ください!????

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

担当:獣医師

中尾 大樹

9年ぶりに地元福岡に帰ってきました。
美味しいご飯や、地元の懐かしさ、愛犬と愛猫に癒され過ごしています。
今の楽しみは、ゴルフとホークス観戦です。
最近お腹が出てきたので、ジムに行って頑張っています。
わんちゃん、ねこちゃんに痩せてくださいと言ったら、先生もね!って突っ込んでください。笑

気になることや、雑談でも構いませんのでお気軽に話しかけてください。
ブログでも皆様のお役に立てるよう情報を提供していきます。
優しい、話しやすい、丁寧、親身に寄り添える獣医師目指しています。
少しでも動物たちのために尽くせるよう、飼い主様と共に歩んでいきたいので、
どうぞよろしくお願いします。

福岡動物メディカルパークリヴ動物病院

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