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猫コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎(再編集)

獣医師スタッフブログ 2019.09.29 UP DATE.

猫伝染性腹膜炎(FIP)という病気を、猫を飼っている、あるいは飼ったことがある方は耳にしたことがあるかもしれません。

猫伝染性腹膜炎(FIP)はウイルス感染による炎症から腹水や胸水が貯まったり、

肉芽腫という塊状の病変が全身の色々な臓器に出来てしまったりする病気です。

腹膜炎と言う名前が付いていますが、お腹に限った病気ではありません。猫の恐ろしい致死性の病気の1つです。

初期症状は発熱、沈うつ(元気がない)、食欲不振、体重減少などです。

 

◎FIPの猫から抜去された胸水

 

FIPは猫コロナウイルス(FCoV)が猫に持続感染して増殖を繰り返すうちに変異を起こし、

変異が蓄積してFIPVとなることで発症すると考えられています(弱毒〜強毒性のFCoVが存在するという説もあります)。

FCoV感染は感染猫の糞便より経口・経鼻感染を起こし、発症すると比較的軽度の腸炎を起こします。

感染源となる糞便中でウイルスは2ヶ月程度生存します。

FCoVに感染すると感染後1週間以内で糞便中へのウイルス排泄が始まり、2週間程度で抗体が産生され抗体検査で陽性となります。

そして、大半のFCoV感染は発症せず無症状で持続感染した後、3〜7ヶ月程度でウイルス排泄が終わり排除されますが、

一部の猫は生涯持続感染を維持しキャリアーとなると言われています。

 

近年の調査では、

国内の猫のFCoV抗体保有率は純血種で66.7%、雑種で31.2%であり、

3ヶ月〜1歳齢の純血種で75%以上の抗体保有率をピークとして高齢となるにつれて低下した一方、

雑種では年齢で大きな差のない陽性率であった

(Taharaguchi S., Soma T., Hara M. :Prevalence of feline coronavirus antibudies in Japanese domestic cats during the past decade, J Vet Med Sci, 74(10): 1355-8, 2012.)

と報告されています。

また、幼若な純血猫の多頭飼育状況下では、陽性率は100%近くなるという話もあります。

 

長々と書きましたが、

 

◎猫伝染性腹膜炎(FIP)は致死率の高い怖い病気

◎猫コロナウイルスと猫伝染性腹膜炎(FIP)は関連がある

◎猫コロナウイルスを持っている猫は案外多い、特に若い子で注意

 

という3点がポイントです。

 

しかし、FCoV陽性猫のうち FIPを発症するのはわずか数%だと言われています。

先にも書きましたが、感染中に増殖を繰り返して変異が蓄積することが問題なのです。

なので、FIPを発症させないために大事なことは、

 

①猫コロナウイルスの感染の有無を知っておくこと

②感染があるのであれば、ストレスの軽減や免疫力低下の原因を減らすことに配慮して、ウイルス増殖を抑制すること

・急な環境の変化や工事の大きな音などそれぞれの猫が嫌がりそうなこと・ものを避ける(猫それぞれなので何をとはなかなか言えませんが…)

・定期検診を受け、体調が悪そうなら早めの受診をする、など

③多頭飼育であれば、衛生管理を徹底すること

・感染猫の使用した食器・トイレなどはアルコール系の消毒剤または家庭用洗剤で十分に洗浄・消毒する

・新しい猫を迎える場合は検査の判定が出るまで一緒にしない、など

 

FIPには今の所著効する(治癒する)治療法はありませんが、現在もいろいろな治療法が検討されています。

調べていただくと、いろいろな情報が出てくると思います。

ですが、やはり実際にFIPを発症するとできることは限られ、その多くが緩和治療で、

現在のところFIPが致死的な疾患であることは間違いありません。

万が一FIPの診断がついた場合には、それを受け止め、

その子をどうしたら良く送ってあげられるかを考え、相談しておく必要があります。

 

しかし、FIPウイルスを特定する遺伝子の検査を一般病院でできるようになったのも近年のことですし、研究は進んでいます。

猫ちゃんの飼い主さんには、より良い治療法が開発されるのを期待しておいていただきたいと思います。

担当:獣医師

山﨑 大樹

ペットと人が一緒に楽しく暮らすために、生活に寄り添った万全のサポートのできるホームドクターが目標です。全力で頑張りますのでよろしくお願いします。

福岡動物メディカルパークリヴ動物病院

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