今回は、元気や食欲は変わらずにずっとあるけど2週間前くらいから吐くようになったシーズーのゆずちゃんのお話です。
吐くと言う症状は原因が様々で、食事の質や中毒、消化器の問題、肝臓や腎臓など多岐に渡ります。
ゆずちゃんの場合は、食事の質も気になる点がありましたがそれだけではわからないので血液検査やエコーをさせてもらったところ、他にも気になる点が出てきました。
アルブミンというたんぱく質の値がとても低いこと、それによってお腹の中のいたるところに腹水が溜まっていました。
下のエコー画像は腎臓の尾側付近に腹水が溜まっている所です。
この状態が長く続くと、今は元気や食欲があってもいずれ状態が悪くなってしまうので原因を追究することになりました。
アルブミンが低下する原因は、腸の問題、肝臓の問題、腎臓の問題、外傷、出血、飢餓、悪性腫瘍、、などなど羅列するとなんだか複雑そうなものが多いですね…!
ゆずちゃんは検査の結果、腸疾患が疑わしいのでその日のうちに内視鏡検査と組織生検を行う事になりました。(もちろん、犬猫さんは人と違い、内視鏡検査には全身麻酔が必要になります)
病理検査の結果が出るまではお薬を使って腹水を減らしていきました。
病理検査の結果は「腸リンパ管拡張症」でした。
この腸疾患は腸の粘膜などのリンパ管が異常に拡張した状態で、これにより腸の中に蛋白や脂質などを含んだリンパ液が漏れ出ていってしまう状態を指します。
一般的な症状としては、下痢や痩せていってしまう、腹水などですが、消化器症状を伴わない場合もあります。
ゆずちゃんも吐くという症状はありましたが、それ以外は元気もばっちりあって食欲もいつも通りで下痢もなかったので、今回原因がわかってよかったです。
経過は順調ですが、今後もお薬の量などを調整してサポートしていきます!
元気食欲があると病院とは無縁の存在かもしれませんが、時にはなにかの病気や注意しなければならないことがあるかもしれません。
当院は定期健診で行える健康診断のコースがいくつかありますので、元気な子には主にワクチンなどの予防の方に年1回行う事をおすすめしています。(予約が必要なものもあります)
もちろんワクチンの時でなくてもいつでも受けれるので、お気軽にお問合せ下さい。
獣医師 平湯
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院