先日、数日前からうんちが出づらくなっていて今日は元気もないしうんちも出ていないという事で来られたのは猫のちびちゃんです。
ちびちゃんは2歳の猫さんで、今まで1度もお家の外にも出た事がないし怖がりさんなのでゲージから出す時から慎重に怖がらせないようにゆっくりと進めていきました。
お話を聞くと、10日くらい前からうんちが出づらく、来院日当日の朝はおしっこは多分出ているけどトイレの砂に血がついている、今日の元気は全然ないとのことでした。
ただ、ちびちゃんの他に5頭のワンちゃん猫ちゃんがいるみたいで本当にちびちゃんのおしっこうんちかはわからない状況でした。
一般的な聴診視診触診を行っていくと、お腹を少し触るだけでものすごく鳴き叫び、診察中にも吐いていたので血液検査で内臓系に異常が出ていないかやお腹の内部の構造に異常がないかをエコーで見ることになりました。
すると、お腹にエコーを行うと膀胱がパンパンになっていて尿路閉塞を起こしていることがわかりました。
実際に膀胱を触診してみても、膀胱が鶏の卵がお腹の中にあるように硬くなってることがわかります。
◎↓その時の膀胱のエコー画像(楕円形になっている所が膀胱です)
猫の尿路閉塞(以下、尿閉)は膀胱の中に尿が溜まっているにも関わらず、何からの影響によって尿道の閉塞が起こり尿を排泄できない状態のことを指します。
この場合、膀胱内で形成された炎症産物や結石が原因で尿閉を起こしていることがほとんどだそうです。
一般的に、尿閉と診断した時点で緊急的に尿閉を解除することが必要であるため、チビちゃんもそのまま処置をさせてもらうことになりました。
こちらがチビちゃんの膀胱内に入っていた尿にです。
尿閉を解除した後は約1日半、尿路確保のために尿道にカテーテルを通して尿量等を測定していきました。
◎↓尿閉解除後すぐの状態です。目に見える血尿は約10日ほどは続きました。
また、その後の処置としては重度の脱水と急性腎不全を起こしていたので数日間輸液療法を行いました。
では今回の尿閉の原因はなんだったの??、という事になります。
尿検査を行うと原因が出てきました。
こちらは「ストルバイト」という尿石になります。
リン酸マグネシウムアンモニウムとも呼び、猫の尿路閉塞で一番多い尿石になります。尿pHが高い(アルカリ尿)の時に産生されやすくなります。
この尿石の特徴は食事療法で溶解する事ができます。
チビちゃんも、状態が改善して食欲がでてきた時から尿石用の療法食を食べてもらう事になりました。
今後の治療としては、食餌療法がメインになります。
食事療法の反応をみながら、まずは内科治療を行っていきます。また、リスク因子の1つに肥満があるので、今後はダイエットも治療の1つに入っていきます。
今回のチビちゃんはうんちが出ないなぁと思っていたら、実はおしっこが出ずにお腹が痛くなっていたお話でした。
原因もわかり、今は無事お家にも帰って経過観察中です!
入院中、最初のうちは怖がって縮こまっていましたが日に日に慣れたらゴロゴロと甘えて少しはリラックスできるようになってよかったです!
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院