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胆嚢が破裂したクッキーちゃん

獣医師スタッフブログ 2017.02.14 UP DATE.

11月の上旬に具合が悪いということで来院されたのは、12歳・トイプードルのクッキーちゃんです。

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初めて当院をペットホテルでお預かりしていた時のクッキーちゃんの様子はとても元気がよく、誰かにかまってもらいたくてずっと鳴いている子の印象が強かったのですが、今回来院した時の様子があまりにも違いぐったりしているのがわかりました。

お話を聞くと、4日前ほどから少し元気がなくて吐いていたそうです。来院した当日も朝から吐いて元気も全くないそうです。

あまりにもお母さんの膝の上で丸くなり、抵抗する力もない感じだったので明らかにおかしいという事で、各種検査を行いました。

血液検査では肝酵素の値が高く(GPT=854U/l , ALP=932U/l)、黄疸も出ていました(TBIL=0.6mg/dl)。また炎症の値も高かったです(CRP=13.6mg/dl)。

お腹の中を見てみると、胆嚢が破裂している所見が認められます。

山下クッキー 1.0011

また、別の角度から撮った画像では胆石も認めれました。

山下クッキー 1.0025

その他はお腹に水(腹水)が溜まっていました。

山下クッキー 1.0020

検査の総合的な結果としては、こんなに急激に元気もなくなりぐったりしているのは胆嚢が破裂した事による急性の肝障害の影響が高く、腹膜炎も併発していました。飼い主さんに、まずは点滴の内科の治療に反応して状態が今よりも少し持ち上がれば、数日内科治療をしたのちに外科(胆嚢を摘出します)を行う、又は検査当日の内科の治療にも反応が悪く、状態が悪いままが続くなら緊急手術をした方がいいというお話をしました。
急な話で驚きの方が多かったとは思いますが、集中治療室での点滴治療を行い夕方の様子を見ることになりました。

その後の様子は、夕方には朝のぐったりした状態よりは多少は顔つきが良くなっていたので当日の緊急手術はなくなり、数日内科治療を行ってからの手術という順序になりました。

クッキーちゃんはその後、凝固系に異常がないかの血液検査を行って正常ではなかったのでその治療も行ったり、炎症の数値がなかなか治らずに抗生剤変更による点滴治療が続きましたが入院12日目にやっと外科手術にたどり着きました。

こちらが摘出した胆嚢です。周囲組織との癒着も激しい状態ではありました。

また、同時に肝臓の生検も行って病理検査に出しました。
結果は「やや高度な胆汁うっ滞性胆管肝炎」でした。採取された肝臓において、胆管炎及び胆汁うっ滞を示す変化が観察され、胆管増生や胆管炎を伴うことから胆汁うっ滞性の胆管肝炎と診断されます。また、その程度は高度と考えられ、繊維化も認められます。胆汁うっ滞の原因は、胆石などによる胆嚢の胆汁排泄異常と考えられます。
予後については、やや高度な胆汁うっ滞性の肝炎及び胆管炎と診断されることから、胆嚢を切除されているため回復する変化と考えられますが、経過には十分な注意が必要です。

と記してありました。

退院してからは内服薬と低脂肪食をさらにお湯で湯がいて油を極力抜いてもらう食生活を行ってもらっています。

術後は肝臓の酵素の数値も高く、貧血もありましたが現在は回復して経過観察中です!

クッキーちゃんは今まで特に大きな病気等はなく、食欲が落ちたことはなかったそうです。数年前に、別の病院で肝臓の数値が高いねと言われたことはあったそうです。
胆嚢や肝臓などの疾患は、最初は見た目にはわからない場合も多く、症状が出るときには状態がひどいことが多いです。病気の早期発見、予防のためにも1年に1度は健康診断を定期的に受けることをお勧めします!

特にシニアの病気にかかっている犬・猫の飼い主の皆さんは、「見た目はいつまでも若いんだけど、中身はしっかり年取っているんだね」というような事を言われています。飼い主さんとの時間をよりよく過ごすお手伝いが何かできるかもしれないので、「健康診断」是非ご検討ください!

クッキーちゃんも長い入院生活ですっかり病院が苦手になってしまいましたが、いつもの元気いっぱい☆食欲旺盛☆な姿に戻ってくれてまずは一安心です♫

 

獣医師 平湯

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

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