皆さんこんばんは。
獣医師の中尾です。
世界陸上を見て、走ろうかなと思いましたが、
家の猫に阻まれ(なでろなでろ攻撃を受けました)、断念しました。笑
そして大きく成長した又八ちゃんが来院されたことで、
後編をアップしていなかったことを思い出しました。焦
前回結膜炎についてお話しさせていただきましたが、
次に後編のお耳(外耳炎)です。
目と耳がぐちゅぐちゅしているとのことで来院された、
エキゾチックショートヘアーの子猫の又八ちゃんです。
左のお耳がぐちゅぐちゅで耳の周りの毛が汚れています。(耳だれ、耳漏)
耳だれを顕微鏡で見て見ると、
青色の丸いお団子みたいな細菌がたくさんとれました。
下の方の写真では、好中球(白血球の一員)が細菌をやっつけている(貪食像)のも
見つかったため、細菌性外耳炎と診断しました。
目と耳両方で感染がありそうなため、
抗菌薬の目薬と飲み薬を処方しました。
目は1週間後にばっちり治りましたが、
耳がいまいちよくなってませんでした。
そこで耳まで抗菌薬の効果が届いていない可能性と、
耳の細菌に抗菌薬が効いていない可能性(耐性菌の存在)を考えました。
細菌の検査は高価なこともあるため、先に点耳の抗菌薬を試すことにしました。
(飲んでいた薬と同じ種類の抗菌薬を点耳薬として処方)
1週間後耳垢も耳だれも半分くらいに減りました。
耳の中の細菌も減少していました。
しかし、そこから2週間経過しても完全に良化はしませんでした。
当院では毎回オトスコープ(耳の中を見るカメラ)を用いて耳の穴の中をチェックしています。
そこで耳の中をいつも通りにチェックしてみると
かなり見辛いですが、ポリープ状のものが確認されました。
最初の段階では確認できていなかったため、炎症が続いたためか?と考えました。
それから1週間後の再診で、
ポリープと耳垢は変わらずでした。
ひとまずいつも通りに掃除していた時に、
又八ちゃんがぶるぶる頭を振ると・・・・
ポロっと
何かが保定をしていた看護師さんの方へ飛んでいきました。
よく見てみるとポリープでした。
念のためポリープを病理組織学検査を実施しました。
(できものや内臓などを見てもらい、確定診断をする検査です)
結果は鼻咽頭ポリープでした。
悪いものではないですが、再発することもあるため注意は必要です。
先天性(生まれつき)の可能性もあり、
もしかしたら最初の段階では小さくて見落としていたのかもしれません。
その後耳は劇的に改善し、ポリープの存在による構造的なトラブルが一番の原因だったと考えられます。
2ヶ月近く経った今も耳は落ち着いています。
今回はぽろっととれたため、良かったですが、
取れなかったり、多発(たくさん)性であれば手術も考えなければいけませんでした。
子猫を飼い始めた飼い主様の皆さん、
可愛いねこちゃんのお耳はきれいでしょうか??
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院