「3週間前くらいから生理があった。今朝は食欲はあるけど、くたっとして元気がないようだ」とのことで来院されたのは黒ラブ11才のベスちゃんでした。
ベスちゃんとは2才の頃からのお付き合いで、もうすぐ10年になります。
とても怖がりの子で当日の診察もイヤイヤオーラを出してましたが、いつもより元気がないかなと感じました。
そこで、各種検査を実施したところ、腹部に強い炎症を伴う円筒状の腫瘤が確認されたので子宮蓄膿症と診断しました。
子宮蓄膿症の治療の第一選択は外科です。
お年寄りの大型犬ですので、若い時と比べて、また健康な時と比べてリスクを負うことにはなりますが、ベスちゃんを助けるためには手術が必要です。
オーナーの方にもご了承をしていただいて、手術を実施することにしました。
開腹してみると、大きく拡張した子宮が腹部の他臓器を圧迫していましたが、幸い腹膜炎は併発しておらず、無事に手術を終えることができました。
切除した子宮にはたくさんの血膿が溜まっており、これでベスちゃんを苦しめていた原因が取り除けて「ほっと一安心」です。
心配していた術後の経過も順調で、ベスちゃんとご家族に笑顔が戻って、お付き合いが長いだけに私もとても嬉しかったです!
それでも、若い時に避妊手術を受けていただくことが一番安全安心ですので、「ご自分の愛犬猫達に避妊手術を受けさせてあげる」ことを考えてあげて下さい。
獣医師 佐藤