先日、朝から急に目の膜が出てきてフラフラしている、と来院したのは、
12月にお家に迎えたばかりの小柄な猫のちゃちゃ丸ちゃんです。
(改善してからの写真です。)
前日まで普通にしていて朝起きたら、とのことでした。
実際に診てみると、確かに両側の瞬膜が飛び出ていて、視力も低下しているようでした。
動き方も、せわしなく動いていて、なんだか左に大きくグルグル回る感じがありました。
と思ったら、止まってぼーっとしていたり、と意識レベルの低下を疑わせる様子があったり、
単純に目の問題だけではないような行動でした。
代謝性疾患、神経疾患も疑われたので、血液検査と神経学的検査を行いました。
血液検査では高グロブリン血症が確認されました。FIV/FeLVはともに陰性でした。
高グロブリン血症は慢性の炎症や感染症、腫瘍などがあると生じます。
神経学的検査では、両側の視力の喪失と後肢の姿勢反応の低下が確認されました。
やはり中枢神経の異常を疑わせるような所見です。
追加検査としてMRI検査が必要であると判断しました。
MRI検査に行っていただいた結果、
側脳室の拡張、つまり水頭症が確認されました。
また、一部に炎症像が確認されたことから、
脳室系の炎症に伴って、脳脊髄液の流れが悪くなり、側脳室の水が溜まりすぎて水頭症に至る
「非交通性水頭症」病態が疑われました。
若齢の猫では、猫伝染性腹膜炎(FIP)ウイルスによって起こりやすい病態です。
ちゃちゃ丸ちゃんもその後検査を行いましたが、FIPウイルスの元になる猫コロナウイルスは陰性でした。
水頭症があることが分かったので、利尿剤を開始したところ、ちゃちゃ丸ちゃんはみるみる元気になりました。
脳室の炎症の原因が特定できていないので、まだまだ油断せずに治療を進めていきたいと思います。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院