突然後ろ足が両方とも立たなくなったと言って来られたミニチュア・ダックスの茶々ちゃん。
4日前に急に動かなくなり、排尿排便が垂れ流し状態になってしまっているとのことでした。
来院時、肢は動かすことができましたが、後肢の固有知覚反応はなく、深部痛覚は残っている状態でした。
椎間板ヘルニアのグレードⅢの可能性が高く、排尿困難になりかけていたため、他の脊髄疾患との鑑別や手術も検討する為に早急なMRI検査をおすすめしました。
そして、翌日他院にご紹介させていただきMRI検査を実施したところ、第1−2腰椎の椎間板が右腹側よりヘルニアを起こしている状態でした。
椎間板ヘルニアは神経疾患で緊急性の高い病気になります。
進行していくと一生歩けなくなったり、脊髄の炎症が中枢まで進行すると呼吸中枢を麻痺させて命を落としたり(脊髄軟化症の状態)と、迅速な対応が必要です。
診断をつけた後、適応症例であれば手術での外科的治療を行います。
確定診断にはMRI検査が必要になりますので、今回のように他院にご紹介させていただき、後躯麻痺の原因が脊髄腫瘍などのその他の疾患との鑑別、椎間板ヘルニアであればヘルニアを起こしている場所の特定を行います。
茶々ちゃんはグレードが高く、症状も急である為、手術適応とし、翌日の夜に緊急手術を行いました。
手術は無事に終わり、ステロイドとリハビリ、温熱療法のレーザー治療を行いながら後肢が動くように治療継続します。
車椅子を使ってリハビリを行っているところです↓
車椅子で腰の下を支えて足がちょうど着くようにしています。
この状態で自由に歩かせて後ろ脚を動かすようにしていきます。
退院後も腰の下にタオルを通して腰を持ち上げ、屈伸運動で筋肉の硬直を防いでもらいながら
投薬治療と併用でリハビリを継続してもらいました。
手術をして2週間後にはだいぶ歩行ができるようになり、固有知覚反応も徐々に戻ってきました。
それから10日後には投薬も終了し、補助なしで歩き回るほどになりました。
今回の茶々ちゃんは初めて症状が出てから手術まで少し時間が経っていましたが、手術後の反応もよく、退院してからのご家族のリハビリの頑張りもあり、順調に歩行ができるようになりました。
ミニチュア・ダックスさんで多いことが知られている椎間板ヘルニアですが、命に関わる状態までなることもある緊急性の高い疾患です。
軽度であれば内服等の内科治療で経過を見ますが、グレードが高い場合は手術で飛び出た椎間板物質を取り除く必要があります。
迅速な対応が必要になりますので気になることがあればお早めにご相談ください!
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院