便に血がつくとの事で相談に来たのはミニチュアダックスフンドのしのちゃんでした。
直腸検査という、おしりに指を入れて指の感覚で判断する検査を実施したところ指先に何ヶ所か腫瘤が触知したので、後日、大腸カメラ検査を実施しました。
直腸に内視鏡を挿入するとすぐに大小さまざまな腫瘤が発生していました。
ただし腫瘤は直腸の4−5cmの範囲に限局しており、幸にもその奥の下降結腸に病変は確認されませんでした。
そこで治療方法決定のために、腫瘤の一部を採取して病理検査を実施したところ、「炎症性ポリープ」という結果が返って来ました。
「炎症性ポリープ」は基本的に良性病変ですが、基本的な治療は直腸粘膜引抜き術(プルスルー術)という術式で病変が存在している
粘膜を全切除します。その後も放置をすると必ず再発するので、ステロイドや免疫抑制剤を使った内科的治療法を継続していく必要があります。
ただし、この方法は粘膜の切除後ある一定期間、排便時の痛みや出血が続くなどの問題があり、ワンちゃんにある程度の負担が掛かる治療法となります。
そこで今回時はポリペクトミーという治療法を用いて、腫瘤病変を出来る限り取り除き、残存する小さな病変は内科で治療していく方法を選択しました。
ポリペクトミーとは、下の写真のように高周波スネアという器具を使用して、腫瘤病変を切除する方法です。
今回は腫瘤の数が大小合わせると多数存在しており、全処置に1時間以上かかりましたが、結果として1泊入院で済み、処置後もほとんど日常生活に
支障がないほどの経過が得られました。
その後のしのちゃんですが、内科的治療の効果も出てくれて、現在は快適な排便生活を送っています。
ポリペクトミーは、全ての症例に適応できるわけではないですが、動物の治療負担を大きく軽減することができる、とてもよい治療法だと思います。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院