先日、体が痒くて仕方がない、と来院したのは大柄なおじいちゃんのゴンちゃんです。
痒みが出はじめたのは10歳越えてから、とのことでした。
全身、特にお腹から下が長く続いた炎症の結果、黒く分厚くなってしまっています。
高齢犬の皮膚病は色々な原因から起こるため、皮膚検査はもちろんですが、血液検査を含めた全身の精査を行いました。
すると皮膚検査で、下の写真のようなものが見つかりました。
これはカイセンダニの卵の可能性が高いです。
他に甲状腺機能低下症の疑いもありましたが、
まずカイセンの試験的治療と内服薬による痒みの制御、スキンケアで治療を行ってみることにしました。
1ヶ月後、痒みはまだありますが、その程度はかなり軽くなり、元気と食欲が増してきました。
皮膚も発毛が認められます。
痒みが消えていないことから、アトピーのような痒みを起こす基礎疾患があることが疑われますが、
カイセンの二次感染によりさらに悪化していたと考えられました。
現在、自宅でのスキンケアを主軸にした外用療法を自宅で続けています。
大柄なので大変だと思いますが、ご家族に頑張っていただいている甲斐もあって、だんだんと毛が増えてきています。
しっかりと継続ケアをしていきたいと思います。
痒みのストレスは強いため、それだけで元気や食欲が低下することもあります。
ゴンちゃんのように、二次感染の管理で改善が見られることもありますが、
やはりアレルギーのような基礎疾患が疑われる場合は、体質なので付き合っていく必要があります。
しかし、痒みをコントロールしてあげるだけでも、ストレスが軽減し元気になるケースも多いです。
「どうせ体質で治らないから」ではなく「楽にしてあげられるかも」で、相談にいらしてください。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院