先日、トイレでずっと気張っていた、こじろう君のお話です。鼻筋の通ったイケメンです。
お腹を触ってみると膀胱がカチカチで、尿路閉塞を起こしていました。
そこで、閉塞の解除処置を行い、数日で回復しましたが、膀胱内に結石が確認されました。
こじろう君は以前に尿石の影響で、尿管(腎臓から膀胱へつながる管)を痛め、
片方の腎臓を失った既往があるため、尿石治療用のご飯を食べていましたが、
それでもなお尿石ができてしまう体質のようでした。
手術で膀胱から石を取り除こう、ただ、それだけで良いのか?、等々と検討していると、
前回から一週間程度でまたトイレでずっと気張っているこじろう君の姿がありました。
おそらく再度同じ石が尿道に落ちてきたようでした。
結果、膀胱の中の結石だけ取っても体質上また石ができて、尿道に詰まってくる可能性が高い、と判断し、
膀胱の結石を取る手術と一緒に、会陰尿道造瘻術という、尿道の拡張手術を行うことになりました。
猫の雄の尿道は出口に近付くほど細くなり、かつカーブをしています。
そのために、出口付近で尿石や栓子が詰まってきます。
そこで、少し奥のまだ広い尿道を引っ張ってきて広い出口を作りましょう、というのが会陰尿道造瘻術の概要です。
この手術をすると尿道の走行が雌猫のそれに似てくるのと、ペニスを失うことから、女の子にする手術と言われたりします。
無事に取れた石がこちらです。なんだか痛そうな形です。
尿石症は多くの場合で生涯のケアが必要になります。
こじろう君は腎臓が片方しかないので、そちらを守れるよう頑張ってケアを続けようと思います。
これからの寒い時期は猫の運動量が減り、また飲水量が減ることによって、
尿石症を含めた下部尿路疾患がおこりやすい季節です。
トイレの様子には気をつけてあげてください。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院