2日前から元気がない、ご飯を全く食べない、吐くとのことで
来院されたぱるるちゃん。
5歳の避妊していない女の子です。
診察室の中で様子を伺ったときには、ぐったりはしておらず、
顔もあげていてそこまできつそうには感じませんでした。
身体検査ではお腹が少し張っている(食べていないのに・・・)
以外は大きな問題はありませんでした。
この時点で子宮蓄膿症の可能性も考え、膣を確認しましたが、
膿が出ていることはありませんでした。
そこでお腹が問題なのか、子宮が問題なのか、異物でも飲んだのか、
診断するために超音波検査をさせていただきました。
超音波の結果・・・
子宮蓄膿症でした。
超音波画像の右側に見えるのが膀胱(鉛筆の先の形)で、
左側に見えるのが子宮(真ん丸の形)です。
子宮の中が薄グレー色に塗りつぶされていて、
膀胱の中は真っ黒に塗りつぶされているように見えます。
超音波では水が黒く見え、不透明になる程白くなっていくことから、
これは子宮には膿が溜まっていると考えられます。(水ではなさそう)
ちなみに健康な子の子宮はほとんど見えません。(見える=異常)
血液検査では白血球が増えていて、CRP(炎症マーカー)もかなり増えていたため、
子宮にある膿の影響で、炎症が強く起こっていることが考えられます。
子宮蓄膿症は膿が膣から出てくるタイプと出ないタイプがあります。
ぱるるちゃんは出るタイプで、放っておくと子宮がパンパンになり、
破裂する可能性もあるためその日に手術をしました。
※次から手術の写真になるため、気持ち悪くなる可能性があります。
子宮蓄膿症の手術では女性ホルモンを出す卵巣と、
膿がたまっている子宮をとる手術(卵巣子宮全摘出術)をします。
これは手術中に子宮をお腹の中から外に出した写真です。
本来であれば、ぱるるちゃんの子宮は小指くらいの太さですが、
親指より太くなっています。
また、一部分がピンクではなく、黄色く変色しているため、
放っておけばここから穴が空いて、お腹の中に膿が出てより悪化したかもしれません。
切除した子宮に切れ目を入れると、膿(緑色)がどばーっと出て来ました。
体調が悪くなった原因の膿をとったため、手術後すぐから元気になり、
その日のご飯も食べてくれました。
血液検査の数字も順調に下がってくれました。
子宮蓄膿症は、避妊をしていないわんちゃんでは、
発症してしまう可能性が常にあるため、避妊をすることで防止できます。
また、発情(生理やヒートのこと)後に起こりやすいため、
様子がおかしいなとか、おしっこに変なものが混ざってるなとか、
膣から膿がでているなとかあればすぐ病院へ来てください。
避妊のメリットとしては乳がんを含めたおっぱいのしこり(乳腺腫瘍)を
予防することもできるので、繁殖目的がない飼い主様は是非!!
※乳がん予防には早期の避妊が必要で、
2回目の発情を過ぎるとほぼ意味がありません。
もし悩んでいらっしゃる方、話を聞きたい方は、
メリット・デメリット含めて詳しく説明させていただきますので、
病院にお尋ねください。
腹腔鏡(ラパロスコープ、ラパロ)による傷が小さい避妊手術も実施しています。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院