体重が2kg減ったのが嬉しかった今日このごろです。
今回は左腕の内側がなめてしまってハゲてしまったとのことで来院された
猫のゆめじちゃんです。(可愛いお顔の写真撮り忘れました・・・)
なめたのが先か、ハゲたのが先かで疑われる病気は異なることもありますが、
今回はわからないとのことでした。
(たいていわからないことが多いです。)
見た目はこんな感じです。
毛は抜けていて、皮膚はやや赤くなり、表面にかさぶたがあります。
(脱毛、紅斑、痂皮あり)
抜毛検査(毛を抜いて顕微鏡で見る検査)では何も異常は認められませんでした。
カビ(皮膚糸状菌)も考え、UVライトを用いて照らしてみるとうっすら陽性反応がありました。
※正式な検査機器はウッド灯を用いますが、UVライトで代用しています。
皮膚糸状菌は毛に生息している菌の皮膚への侵入で起こります。
接触や毛が舞うことで感染がひろがります。
健康な子でも保菌していることもあるため、注意が必要です。
皮膚糸状菌症で一番覚えててほしいのは、
人獣共通感染症(ズーノーシス)であるということです。
人に感染る可能性があるため、消毒や手洗いには気をつけてください。
特にお子様やお年寄りの方がいらっしゃるご家庭はより注意してください。
これは僕自身の経験ですが、女性の方に感染ることが多い気がします。
(お世話の頻度や在宅時間の問題かもしれませんが)
主に腕に赤い斑点(10円玉から500円サイズが多いです。)ができた場合は、
人の皮膚科に行ってください。(動物を飼育していることを告げてください)
本題に戻りますが、
糸状菌の一つであるMicrosporum canisという菌が、
猫の糸状菌のほとんどの原因になります。
その中でもライトに反応する菌は約半数なので、
誤診を避けるためにも糸状菌用の培地を用いて診断することにしました。
この培地に糸状菌が生えると黄色の培地が赤く変色することが特徴です。
最大2週間程度判定まで時間がかかることもあるため、
その間は先に治療するか、待ってもらうかになります。
今回は飼い主様と相談し、カラーをつけてもらい、検査結果を待つことにしました。
舐めることでより酷くなるのや、感染が広がるのを防ぐためです。
5日後の写真です。
黄色の培地が赤くなっていることがわかります。
これで糸状菌症と診断し、抗真菌薬を処方しました。
1か月後です。
まだうっすら毛は薄いですが、綺麗に毛が生えてきました。
あとは毛が生え変わるのを待つだけなので、これで治療終了と判断しました。
子猫や、ストレスを抱えた猫、病気を治療中の猫(特に免疫抑制中)は発症しやすいため、
注意してみてあげてください。
気になったらご気軽に病院に相談ください。
補足ですが、
病院スタッフで一番感染する人獣共通感染症は糸状菌だと思います。
まだ自分はかかったことがないため、どんな感じかお伝えすることができません。笑
飼い主様やスタッフからの情報だと、少しかゆい程度ですぐに治らないイメージです。
ペットを飼育していることを伝えておかないと、軟膏だけ渡されて、
全然改善しないこともあるため、必ず伝えるようにしてください。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院