こんにちは。
獣医師の中尾です。
福岡に帰ってきたからの初雪は佐賀で見ることになりました。
雪をみてはしゃいでしまう気持ちを忘れずにいたいなと思います。
ちなみに寒いのはあまり得意ではありません。
さて今回はわんちゃんの血尿です。
今回顔写真を撮り忘れるミスをしました・・・
ヨーキーのリリちゃんです。
当院のペットホテル中に血尿を確認し、検査をおこないました。
血尿は下の写真のように赤色というよりはどす黒い色をしていました。
遠心(重いもの=細胞や細菌などを沈める作業)するとかなりの量の沈殿物が確認され、
上澄もやや黒さが確認されました。
顕微鏡で確認すると、沢山の物が確認されました。
健康時の尿にはここまで沢山見えることはありません。
また尿はアルカリ性になっていました。(健康時はやや酸性=中性です)
細菌も沢山存在してしていましたが、結晶(結石のもと)はありませんでした。
超音波で膀胱を見てみると、
ピンクの丸で囲ったのが結石になります。
黒い部分が膀胱内の尿なので、膀胱結石になります。
左の写真の膀胱結石は写真下に向かって結石から黒い帯のようなものが出ています。
これは超音波からでるビームを結石が反射して、
結石より下の物が映らなくなる現象です。(シャドーと言います)
以上の所見から細菌感染及び膀胱結石を伴う膀胱炎と診断しました。
治療は抗菌薬と食事療法を始めました。
結晶がある場合はそれを見て、食事療法だけで治療可能か手術が必要か判断します。
(例:ストルバイト→ご飯で溶ける、シュウ酸カルシウム→ご飯で溶けない)
食事に関しては、今回はリリちゃんの食いつきの良かった、
ヒルズのメタボリック+ユリナリーを選択しました。
1週間後には症状もほとんどなくなり、
(膀胱炎の症状は頻尿、血尿、しぶり、お水をよく飲むなどがあります。)
尿のPH(酸性かアルカリ性かを見る数値で、7が中性です)は、
治療前が9.0(アルカリ性)→治療後6.5(酸性)になりました。
見た目も綺麗になったことがわかります。
現在はご飯だけ続けてもらって、3ヶ月程経ちますが、今もおしっこは順調です。
膀胱炎は犬では感染を伴うことが多く、猫では感染を伴わないことがほとんどです。
女の子は陰部から膀胱までの距離が短いため、膣の細菌が感染しやすいと考えられています。
結石や結晶は食生活が大きな原因の1つです。
おやつを沢山食べたり、人の食べ物をあげたりすることも注意です。
良かれと思ってミネラルウォーターを飲ませるのも控えてください。(特に硬水)
結石や結晶はそれ自体が膀胱の壁を傷つけて、感染しやすくなるだけではなく、
男の子では尿道に詰まり、おしっこが出なくなる場合もあります。(=尿道結石)
膀胱炎で発生する細胞やタンパク質が詰まることもあります。
どちらの場合にせよ、おしっこが出なくなることは緊急疾患です。
遅くても1日近くおしっこを確認できないなら、病院へ来てください。
トイレに何度も行くやおしっこの姿勢をとるがおしっこ出ないのを確認した場合は、
排尿障害の可能性があるため、待たずにすぐ来てください。
おしっこはお家で簡単に確認できるため、注意して見る様にしてください。
ご質問などある場合はリヴ動物病院まで。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院