先日、前日から急に吐き始めて元気と食欲が無いと来院した、少し怖がりのリリオちゃんのお話です。
来院時は触っただけでわかるくらいの発熱があり、直腸温を測ってみると40℃以上ありました。
呼吸もやや早く、SIRS(全身性炎症反応症候群)の可能性が高いと判断し、急いで検査をしました。
(写真は来院後そんなに時間が経っていない時の写真ですが、明らかに目がうつろで顔に余裕がありません。)
調べてみると、総白血球数が低下しており、SIRS状態と判断しました。
SIRS(全身性炎症反応症候群)とは、
感染などの侵襲(内から外から問わず)によって起こった炎症が、
全身性に影響を及ぼしている状態で、コントロールできなければ多臓器不全も起こし得る危険な状態です。
迅速エコー検査で腹水貯留が認められたため、腹水検査を実施し、細菌性腹膜炎と診断しました。
急性の細菌性腹膜炎で一番多いのは消化管穿孔です。
穿孔の有無の確認と腹腔内の洗浄が早急に必要と判断し、
そのまま試験開腹を実施しました。
腹膜炎により消化管は真っ赤になっていました。
怪しい部位はありましたが、明らかな穿孔部位は確認できなかったため、消化管の切除等は行わず、
しっかりお腹の中の洗浄を行い、排液ドレーンを設置して、手術を終了しました。
針の穴ほどの小さな消化管穿孔の可能性が高く、
抗菌剤の投与と腹水のコントロールで穿孔部位はそのまま塞がるのではと考えました。
状況によっては再度開腹の可能性もありましたが、
なんとか数日で排液が減り、熱も下がり、元気になりました。
まだ、消化管のダメージが回復しきっていないので便が柔らかいのですが、じきに良くなるはずです。
早めに来院していただいたので、処置もすぐ出来て回復しましたが、来院が1日遅れていたら助かっていなかったかもしれません。
発熱は本当に怖いな、というお話でした。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院