皆さんこんにちは。
獣医師の中尾です。
コロナウイルスにより、イベントの中止や一斉休校、そしてマスク・消毒薬不足など、
生活に色々支障が出ています。
物資が限られているため、出来ることが沢山ある訳ではないですが、
手洗いうがいなどからしっかり実施していきましょう。
メディアを通じて色々な情報が入ってきますが、
すぐに鵜呑みにせず、少し考えてみましょう。
不確かな情報を鵜呑みにして物資を買い占めたり、
余計な不安を煽ったりするのは避けたいところですね。
わんちゃんねこちゃんに関しては、
現段階では人にうつしたりする報告はないので安心してください。
詳細は前回のブログや日本獣医師会のHPをご確認ください。
スタッフにご気軽に質問してください。
ちなみに僕は手洗い・うがい・笑うの3本柱で予防しています。
笑うことは免疫維持につながると言われています。
気持ちも楽しくなってくるためおすすめです。
今回は、右の脇腹のところに出来たでしこりをとったメイちゃんです。
数年前に出来てから徐々に大きくなっていき、
手術の時はバレーボールサイズくらいの大きさになっていました。
(あまりに大きすぎてメイちゃんは歩き方が変わっていました)
基本的にできものが出来た場合には、
- できもの(腫瘍)
- はれもの(炎症)
なのかを判断します。
もちろん血腫(血が溜まっていること)、膿(感染によるもの)などもあります。
一番確実なのは全部とってしまって、病理組織検査をすることです。
※病理組織検査とは、とったしこりの全部もしくは一部分を、
検査センターで見てもらい診断を付けてもらう検査のことです。(1〜2週間程度)
診断がつくため、どちらかはわかります。
ただいきなり手術は麻酔や費用の問題があるため、
よく細胞診検査と呼ばれる検査を実施します。
これは細い針でしこりをさして、
しこりの中にあるものが何か見ていく検査です。(血、膿、細胞など)
細胞が取れれば、腫瘍細胞なのか、炎症細胞なのかを見ていきます。
それを踏まえて次のステップに進んでいきます。
メイちゃんは、しこりが出来て1年くらい経った時に細胞診の検査をしています。
その時は脂肪腫という良性腫瘍と仮診断しています。
そのため、治療には進まず経過を追うことになりました。(オーナー様が手術を希望されませんでした。)
そこから数年が経ち、徐々にここまで大きくなってしまいました。
良性腫瘍と仮診断していますが、良性腫瘍でも大きくなることで、
歩きや座るなどの生活に支障が出ることがあります。(転移はしませんが。)
メイちゃんもしこりの重さに耐えるために左側に傾いて歩いていました。
若干呼吸にも影響が出ている様に感じました。
そのためオーナー様と相談して手術に踏み切りました。
上の写真が麻酔をかけた後に、毛刈りした状態です。
ラクダのこぶの様なものがしこりです。
無事手術で取り切りました。(肋骨の間から皮膚の下まで大きくなっていました。)
しこりは病理組織検査で脂肪腫と診断されました。
そのため基本的には手術で治療は終了です。
この写真は抜糸後の写真です。
今では毛もふさふさで、歩き方も正常に戻りました。
オーナー様も「もっと早く手術しとけば良かった。」とおっしゃっていたため、
手術すすめて良かったなと感じました。
この写真はオーナー様手作りの洋服です。
メイちゃんは、退院時に着て帰っていきました。
とても可愛くて、かつ高機能だったため、感動してしまいました。
今はネットでも買えますが、手作りも温かみを感じていいなと思いました。
まとめです。
しこりは良いか悪いか、そもそも何なのか検査しないと良く分かりません。
小さいから良いとは限らないため、
サイズや調子にかかわらず検査をおすすめします。
また、良性でも大きい場合はメイちゃんの様に生活の質が下がることがあるため注意です。
そして乳腺腫瘍などで良性から悪性へ変わる可能性があるため、
手術できる時に手術することをおすすめしています。(病気や高齢になって手術できないことが多々あります。)
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院