うちのネコが、前日の夜から何度も吐いていて、元気・食欲がない、
急いで受診した方が良いですか?
と電話がきました。
電話で状況を聞いた当院の看護師が、
そうですね、様子を見ずに早目の受診が良いと思います、
とお返事をして、
すぐに来院してもらったのは、人工哺乳の頃からみているおっとり猫のたまちゃんでした。
お話を聞くと、おもちゃの紐をはじめの方に吐いた、以前から布系のものを嚙る癖があるとのこと。
早い方が良いと思いますとはこれのことだな、とお腹のエコーを見てみると、
案の定おもちゃの紐が消化管に引っかかっていました。
紐が消化管に引っかかる紐状異物は、異物による腸閉塞の中でも特に質が悪い状態です。
引っかかった紐と正常な消化管の蠕動運動の結果として、腸管が手繰り寄せられて、綴れてしまいます。
綴れてしまった腸管はその圧迫により、血液の流れが悪くなり、障害を受けます。
比較的短時間で、その部分の腸管が全体的に壊死してしまうこともあります。
たまちゃんはその日のうちに開腹手術となりました。
これが綴れてしまった腸管です。
ややうっ血してしまっているせいか赤いですが、ダメージは深くないようでした。
まずは腸管内に引っかかっている端の部分を探します。
そして、腸管を切開して、その端の部分のみを切除しました。
引っかかっている端の部分が取れると、綴れていた腸管を戻すことが可能になるので、
真っ直ぐに整復し、ついでに腸管内の紐を胃内に押し戻しました。
押し戻した紐を内視鏡下で摘出しました。
内視鏡を使うことで、消化管の切開を最小限に留めることができました。
長い紐が出てきました。
腸管の方に結び目が引っかかり、胃のなかで残りの紐がだまを作ってしまったことによって、
腸管の綴れの発生につながったようでした。
術後はスムーズに回復し、元気に帰って行きました。
時間が経ってしまっていたら、状態はもっと悪くなっていたでしょう。
手術できたとしても、腸管の切除が必要になっていたでしょうし、回復に時間がかっていたはずです。
早めに来院してもらって良かったです。
どうしても不要不急の外出自粛要請が出ていますので、
動物病院に行くべきかどうか悩まれることがあると思います。
わんちゃんねこちゃんの調子が悪そうな時は、
様子をみる前に一度、動物病院に問い合わせてみてください。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院