先日、朝から急に元気と食欲がなくなった、うんちもしない
と来院したのは、とっても寂しがりでまだまだ子供のパンちゃんです。
診察をしようとすると、かなり下腹部を痛がっていました。
生後10ヶ月の好奇心旺盛さで、タオルをかじったりする、とのことだったので、
異物の可能性も考え、腹部エコーを実施しました。
すると、異物はなさそうでしたが、痛がっている部分にしこりが見つかりました。
よくよく見てみると、しこりには血液が巡っておらず、潜在精巣の捻転が疑われました。
犬の精巣は通常、生後30日過ぎるとお腹の中から陰嚢内に降りてくるのですが、
それがうまくいかずに、お腹の中や鼠径部、皮下で
精巣が留まってしまった状態を潜在精巣(隠睾)といいます。
潜在精巣は通常の精巣と比較して、腫瘍化リスクが高いことが知られており、
早期の摘出手術を勧めていますが、
その他に、まれにお腹の中で捻れて(捻転)血行障害を起こし、急性症状を起こすことがあります。
パンちゃんは、すぐに開腹での摘出手術となりました。
血行障害で赤黒く変色してしまった、精巣が確認されました。
かなり痛かったろうと思います。
捻転はまれな事ですが、やはり潜在精巣は早期摘出が良いようです。
腹腔内の潜在精巣は腹腔鏡で痛みが少なく手術ができますので、
精巣が2つ確認できない仔犬さんはご相談ください。
福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院