ブログ・お知らせ診療日誌

リヴ動物病院のキャンペーンや日々の治療のこと、またはちょっとしたコラムなど。
様々な視点で日々を綴っていきます。

手羽元美味しかったよ・・・と満足そうなベルちゃん

今回来院したのは、お母さんが食べていた手羽元を

盗み食いしてしまったベルちゃんです。

一本まるまる食べてしまいましたとのことでした。

 

骨なのでそのまま丸呑みしていれば、

胃の中に残って吐いてしまう原因になってしまいます。(=胃内異物)

万が一腸まで流れてしまうと、お腹が痛くなったり、吐いたりして、

最悪腸に穴が空いてしまい緊急事態になります。(=腸内異物、腸穿孔)

 

胃の中であればお薬で吐かせたり、

胃カメラでとったりできます。(催吐処置、内視鏡)

しかし腸まで流れてしまうと、

お腹と腸を切ってしまわないといけません。(腸内異物、腸切開、腸切除術)

うんちになるのを待つ方法もありますが、

先ほど書いたように流れなければより危険性が増すので注意です。

 

基本的に食後1~2時間以内であれば胃の中にほとんど残っていますが、

それ以上時間が経っていると腸に流れる可能性が増えます。

チョコレートやお薬などの中毒物質は胃内で吸収されるのも早いため、

より迅速な処置が必要です。

吸収されてからでは対処が難しく、症状が出る可能性が高くなります。

 

まずは今どこにあるかを確認したかったので、

超音波検査(エコー)をさせていただきました。

食べてすぐならレントゲン(X線検査)で見える可能性が上がります。

実際は食べてないことも多いためそれも確認させていただきました。

 

下がエコー写真です。

左側が肝臓で、右の赤丸で囲っているのが胃です。

胃の中にピンクの丸で囲った部分がありますが、

その部分が手羽元(骨)だと考えられました。

 

胃内に残っていると考え、催吐処置をさせていただきました。

催吐処置は血管の中に管を入れて、気持ち悪くなる薬を注射します。

そうすると数分で吐いてくれることが多いです。

(※100%ではないため注意が必要です。)

 

昔は濃い食塩水やオキシドール(過酸化水素)を無理やり飲ませて、

吐かせていましたが、誤嚥の可能性が高いため今はほぼしません。

もちろん注射のお薬も副作用はゼロではないですが、

他の方法に比べるとリスクはかなり低いです。

 

ベルちゃんも注射をして上手に吐いてくれました。

鶏の骨を噛み砕いたものと、鳥皮と白米が出て来ました。

小さく噛み砕かれてはいますが、腸で詰まってしまうリスクや、

下痢や嘔吐、油も多いため膵炎などになるリスクもあるため、

うまく出てくれてほっとしました。

 

確認のために催吐処置後の胃の中をエコーで見ましたが、

先ほど見えた骨のようなものはありませんでした。

 

今回の誤食・異物はよくある話で、ぐるめなわんちゃんや猫ちゃんは、

飼い主様の食べているものに興味津々です。

特に日頃から人が食べているものをちょこちょこ与えているご家庭では要注意です!!

 

たったの一口で手術になったり、命の危険性があるため、

届く範囲に置かないよう日頃から注意しましょう。

わんちゃん、ねこちゃんが食べてはいけないものは特に注意しましょう!!

両目が赤くなって、目やにが出たビビちゃん

3、4日前から目が赤くなって、目やにがでできたとのことで、ビビちゃんが来院されました。

目の病気を疑い、目の精密検査をさせていただきました。

まずは右目の白目(結膜)部分に充血があり、瞬膜(目頭にある膜、寝ている時とかに出ている膜です)にも充血がありました。

そして、左目は結膜部分に充血がありました。(左目の方がひどくないですね)

また、両目に黄緑色の目やにが認められました。

目やにが黄緑色(人のあおっぱなの時の鼻水)の時は感染や炎症が起きていることが多いため、顕微鏡で検査してみました。

これは右目の目やにの写真です。

紫色のぐちゃぐちゃとなっている細胞が白血球(体の中で細菌、ウイルス、かびなどと戦っています)です。

異常がない時は白血球が見つかることはほぼないため、炎症や感染が起きているサインです。

右上の丸い太陽のような細胞は上皮細胞と考えられます。(結膜を作っている細胞かな?)

真ん中に青色の米粒サイズの点が見えますが、これが細菌です。

感染が起こっているかもしれないサインです。

 

外傷や感染などでも角膜に傷ができていることがあるため、フルオレセイン染色(角膜に傷がないか調べる染色方法、フローレステストとも呼ばれます)をさせていただきましたが、傷はありませんでした。

これらの結果から結膜炎と炎症による二次的な細菌感染を疑い、両目は消炎の目薬と右目には抗菌薬(抗生剤)の目薬を処方しました。

 

 

○3日後

左が治療前、右が治療後です。

まず右目です。

右目は少し充血が残っていますが、目ヤニもなくなりました。

次に左目です。

左目は充血も消えてますね。

治療の反応もあるため、残り数日目薬をして治療終了です。

目薬も検査中もとても良い子のビビちゃんでした!!

 

目ヤニや充血、目をしぱしぱさせるなどの症状があればご相談ください。

 

だんだん元気と食欲が落ちてきたビルちゃん

先日、1ヶ月前から徐々に元気と食欲が落ちてきている、3日前からほとんど何も食べないと来院した、

甘えん坊のイタグレ、ビルバンテちゃんのお話です。

来院してみてみると、確かにいつもの元気が少しありません。

また、血色が少し悪いように見えました。

もともと腸が原因と思われる低タンパク血症があるため、

身体検査の後に軽くお腹のエコーを当ててみました。

すると、

腹水が確認されました。

低タンパク血症が悪化すると腹水が溜まってくることがあるので、

それかな?ということで、

念のため血液検査と腹水の検査、お腹のエコーを実施することにしました。

 

結果…

低タンパク血症は悪化していませんでした。

 

ん?

と思い腹部エコーと腹水検査に進むと…

脾臓にしこりがあり、腹水はその周りを中心に溜まっています。

腹水を採取してみると、血様でした。

 

これは脾臓の腫瘤が破れている可能性が高いと判断し、

早急に手術が必要であると飼い主さんにお話をして、手術を実施しました。

 

結果、やはり脾臓の腫瘤が破れて出血をしていました。

写真の左側が問題の腫瘤です。

おそらく、調子の落ちてきた1ヶ月内で何度か破れていたようで、何カ所か大網の癒着がありました。

術後は順調に回復し、お家に帰って行きました。

あとは脾臓の腫瘤の検査結果を待つばかりです。

 

腹腔内出血は急にぐったりするなどの急性の症状が出ることが多いです。

今回は一般的なパターンとは異なり、じわっと時間をかけて調子が落ちていたので、

わかった時には少し驚きましたが、早めに対処することができて良かったです。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

足にできものができたペコちゃん

診療日誌 2019.07.14 UP DATE.

左足の裏にできものができたペコちゃんです。

出血して気にしてなめているみたいとのこと。

 

見てみると、肉球の隣に赤く膨れた部分がありました。

針でつついて顕微鏡で見てみましたが、血液しか採れず・・・。

このようなできものは、見た目だけでは何が原因なのかが分かりません。

例えば、感染症だったり、悪性腫瘍だったり。

それを踏まえて飼い主さんと相談して、治療方法を決めていきます。

ペコちゃんの場合は、感染の治療で良くなるかどうか試して、だめだったら外科切除する方法をとることになりました。

真菌培養では真菌は生えず、抗生剤を2週間のんでもらいましたが、できものの様子は変わらなかったため、外科切除を行いました。

病理検査の結果は「皮膚付属器母斑」ということで、特に悪い物ではなかったので一安心です。

 

 

しかし!手術から2日後、自分で縫合糸を外してしまったため、再度縫合処置が必要になってしまいました。

どうやら、寝る際にエリザベスカラーを外していたため、傷口をなめていたようです。

さらに、手術から7日後、再び自分で縫合糸を外してしまいました。

このときは、ご飯を食べる際にカラーを外していて、少し目を離したすきに傷口をなめていたようです。

結局、通常であれば術後10日で治療終了だったのですが、27日で治療が終わりました。

 

このように、傷口が塞がる前に糸を外してしまうと、傷の治りがとても遅くなってしまいます。

そのため、傷口が塞がるまでエリザベスカラーを付けて生活してもらう必要があります。

最初は寝るときや食べるときに違和感を感じるかもしれませんが、2~3日経てばカラーがあっても上手に生活できる子がほとんどです。

早く治してあげるためにも、目を離すときは必ず!カラーを付けましょう!

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

イスをかじって目が腫れちゃったSOYちゃん

「両目が赤く腫れて目が開いてない!!」

来院したのはジャックラッセルテリアのSOYちゃんです。8ヶ月の元気いっぱいな女の子です。

 

飼い主様が帰宅されると、SOYちゃんの両目が赤くなって腫れていたとのことでした。

診察時の写真がこちらです。

 

見やすいように光を当てていますが、目の周り(まぶたの部分)が赤くなっているのが分かります。

光が当たっていない影響で分かりづらいですが、右目も同様に赤くなっています。

 

 

上の写真はアップで撮影したものですが、目頭から目を囲むように赤くなっているのが分かります。

ちなみに来院時には目の腫れはほぼ治まっており、診察が終わる頃にはほとんど分からないくらいになっていました。

飼い主様が見たときには、ほぼ目が開いてなかったとのことなので、1時間程度で症状が消えていったことになります。

 

目以外にも顎の下やお腹も赤くなっていました。

普段は赤くないとのことでした。

 

飼い主様にお話しを尋ねたところ・・・・

「バラバラになったイスの破片が散らばっていたとのことでした。

 

日頃から色々なものをかじっているSOYちゃんの今回の症状は、アナフィラキシー(もしくはアレルギー性皮膚炎)によるものと考えました。

もちろん目の病気の可能性や、皮膚病の可能性も考えられましたが、

全身に急速で同時に症状が現れていたため、かなり疑わしいと考えられました。(現段階では可能性を否定できません)

おそらくイスの塗料(化学成分)が原因と考えられました。(他のものを口にしていた可能性はあります)

 

アナフィラキシーは、アレルゲンの暴露(吸ったり、触ったり)により、複数の臓器にアレルギー症状が起こる過敏反応のことです。

症状としては

  • 皮膚  (赤くなる、かゆい、ぶつぶつができるなど)
  • 呼吸器 (呼吸が苦しい、気管がはれる、ゼイゼイするなど)
  • 循環器 (ふらつく、ぼーっとするなど)
  • 消化器 (腹痛、嘔吐、下痢など)

上記のようなものが起こり、ひどい時には血圧が下がったり、呼吸が苦しくなったりして命に関わることもあります。

特徴としては、急速な症状発現(数分〜数時間以内)です。

さっきまで何ともなかったのに・・・とよく飼い主様に言われます。

主な原因としては

  • 食べ物
  • 植物
  • 昆虫
  • 薬剤
  • 運動
  • 体温
  • 日光 など

上記のようなものが挙げられます。(動物ではまだまだ不明な部分も多いです)

 

体内の免疫システムが過剰反応することで、色々な症状が起こるためそれを抑える治療がメインになります。

そのため今回の治療は、

  • ステロイド
  • 抗ヒスタミン
  • 胃薬
  • 吐き気どめ

上記のお注射をしました。(冒頭には書いていませんが、嘔吐もしていました)

 

SOYちゃんの腫れや赤みは、病院からお家に帰った後に無くなっていたそうです。

帰宅後から赤くなったり、吐いたりすることもなく元気いっぱいらしいです。

 

SOYちゃんは幸運にも軽度の症状でしたが、大丈夫だろうと判断してひどくなることもあり得ます。

そのため、わんちゃんやねこちゃん、その他の動物と暮らしている飼い主様は、

原因となるようなもの(食事や植物)を極力避けたり(100%は無理ですが・・・)、

ワクチンなどのお薬を注射後は、注意して観察したりするようお願いいたします。(注射後は安静にしておいてくださいね!)

特に何でもお口に入れるような子は、アナフィラキシーだけではなく、異物として胃や腸につまることもあるため注意してください。

  • 不用意に人の食べ物をあげない(肥満や食事アレルギー、時には中毒が起こることもあります)
  • 届くところに植物を極力置かない(食べてしまうこともあります)
  • 薬剤(お薬、殺虫剤、化粧品など)を届くところに置かない(異物や中毒の可能性もあります)
  • 注射した日は安静(トリミングやシャンプーは3日後から、ドッグラン・ペットホテル・過剰な運動は避けてください)
  • アレルギーやアトピーがある子(より症状が強く出る可能性があります)
  • 昆虫が多いところは避ける(特にハチは注意です)

 

 

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○獣医師より

初めまして、獣医師の中尾です。

今年の4月よりリヴの一員になりました。

地元に帰ってきて1ヶ月で、体重が5キロ増えたので焦っています・・・(ラーメン食べすぎたかな?)

今回初めての投稿で読みづらかったり、分かりづらかったりする部分もあると思いますが、

今後も皆様に楽しく分かりやすく伝えられるよう頑張りますので、どうぞよろしくお願いします。

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

鼻水とくしゃみが止まらなかったちくわちゃん

診療日誌 2019.05.30 UP DATE.

「くしゃみと鼻水が止まらず、ずっと気にしている」とのことで診察したのは13歳のミニチュアダックスのちくわちゃんでした。

さっそく診察と検査を実施したところ、両側の上顎の犬歯が口鼻腔瘻を起こしていました(歯槽膿漏が悪化し顎の骨が溶け歯の隙間の部分で口と鼻が開通してしまった状態です)。

状態を説明して重症化してしまっている部分の抜歯と、まだ生き残っている部分の歯科処置を実施しました。

麻酔下で観察した歯はかなり悪い状態でしたが、処置後にはなんとか状態も安定してくれました。

ミニチュアダックスは歯が悪くなりやすい犬種です!
生涯自身の歯を使うためには人と同じように毎日の歯磨きが必要です(歯磨きに代わるデンタルケアはありません)。

皆さんもできる限り愛犬の歯を磨いてあげてください。

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

急に動かなくなったクロチビちゃん

診療日誌 2019.05.12 UP DATE.

いつもなら会社に出勤するとご飯を貰いに来るのに、来ないと思って探してみると、隅の方でうずくまってじっとしていた、

と連れてこられたのは、小柄でかわいい黒猫のクロチビちゃんです。

ご飯はあげたら食べたが、どうも動きたがらない、後ろ足を触らせようとしない、とのことでした。

実際に確認してみると、どうも左脚の太ももが腫れています。

レントゲンで確認してみると、

大腿骨の骨折がありました。これは痛くて動けないはずです。

 

骨折の種類としては、骨端板(成長板)骨折というもので、若い子で多い骨折です。

幸いクロチビちゃんは骨の成長がほとんど終わっているようなので良かったですが、

骨端板骨折は骨の成長障害を起こすことがあるため、慎重に治療をする必要のある骨折です。

 

上のレントゲンでは分かりにくいですが、骨片の前後方向へのズレが大きく、

温存治療での機能回復はおそらく不可能であると判断し、飼い主さんとお話をして手術をすることになりました。

手術は、ズレてしまった骨片を整復して、左右から斜めに金属性のピンを打ち込んで固定するクロスピン法で行いました。

最近導入した外科手術用X線撮影装置(Cアーム)のおかげで、幸い大きなトラブルなくスムーズに手術を終了することができました。

 

外猫さんなので入院に慣れてくれるかが心配でしたが、とても人懐こい子ですぐ慣れてくれたので安心しました。

元通りに飛んだり跳ねたりできるように、しっかりフォローをしていきます。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

食べムラがひどくなったノンちゃん

診療日誌 2019.03.06 UP DATE.

先日、最近食べムラがひどくなってきた、と来院したのはとってもおっとりな柴犬のノンちゃんです。

確かに体重が短期間で減ってきていました。

以前に腎不全の傾向を指摘されていたので、血液検査を実施しましたが、

症状を示すような悪化は認められませんでした。

腹部の画像検査でも軽度の慢性疾患はありましたが、大きな体重減少に関係していそうな異常は

、明らかには確認できませんでした。

 

診察中に口を少しくちゃくちゃしていたのが気になって覗いてみると、歯肉が一部腫れていました。

この程度の腫れでも初期の腫瘍のことがあり、口の腫瘍は大きくなると大変なので、お母さんとお話をして、

後日、鎮静下でしっかりとしたレントゲンと組織の一部を取ってくる生検を実施することになりました。

 

レントゲンでも、患歯が正常側と比べて傾いていることがわかります。

 

病理組織検査の結果は、歯周の炎症の結果できたものであり、

大掛かりな手術等ではなく歯科処置で改善する範疇のものであることがわかりました。

腫瘍でなくてよかったです。

 

口の中は少しの腫れでは気づきにくいですが、今回は大丈夫でしたが、放っておくと大変なことになることもあるので、

何かおかしいなと思ったら動物病院に早めにご相談ください。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

足が赤くなってしまった麦ちゃん

診療日誌 2019.02.26 UP DATE.

足が赤く腫れているとのことで来院した麦ちゃんです。

 

見てみると、左後ろ足の先が赤くなっています。

 

皮膚検査をしてみると、真菌(カビ)の感染があることが分かりました。

そこで、抗真菌薬の軟膏と足先の部分シャンプーをしてもらうことになりました。

毎日の部分シャンプーは大変だったと思いますが、そのおかげで綺麗に治すことができました。

皮膚の病気は、治療に時間がかかったり、手間がかかったりと大変なことが多いですが

そのぶん綺麗に治るととても嬉しいですね。

麦ちゃんも苦手な通院よく頑張りました!

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

毎日1回吐くコロッケちゃん

診療日誌 2019.02.22 UP DATE.

先日、ここ1ヶ月くらい1日1回吐く、と来院した猫らしい気まぐれなコロッケちゃんのお話です。

まずは身体検査、ということでお腹を触ると腹壁にそってやや硬いものが触りました。

これはおかしい、何かが腫れています、ということで

即エコー検査を実施したところ、腫れているのは脾臓のようでした。

微量ながら腹水も確認されました。

あまりに大きく腫れているので、細胞を見た方が良い、と判断しました。

しかし、あまり長いこと動かないように保定していると、コロッケちゃんの癇に触るようで

怒り出してしまったので、安全に検査を行うために、後日鎮静下で針を刺して細胞を採取しました。

すると、

濃い紫で丸く染まっている核の周りに、近い色でつぶつぶがたくさん確認できる細胞が多数採取されました。

細胞の所見から肥満細胞腫という腫瘍の可能性がかなり高く、

少量の腹水中にも同様の細胞が採取されたことから

早期に脾臓の摘出を実施した方が良いと判断しました。

 

 

【肥満細胞腫について】

肥満細胞は肥満に関係した細胞ではありません。

血液系の細胞で、青い顆粒の中にヒスタミンなどの物質を溜めており、

たくさん蓄えているその姿から、「肥満」と呼ばれるようになったようです。

顆粒の中の物質を用いて、炎症や免疫反応に関連します。

肥満細胞腫はその肥満細胞が腫瘍化することで発生します。

猫では皮膚で発生するパターンと内臓で発生するパターンがあります。

皮膚は良性、内臓は悪性の挙動を取ることが多いです。

肥満細胞の持っている機能が症状に関係しており、特に内臓型ではそれが消化器症状として現れることがあります。

また、ひどい場合にはヒスタミンショックという救急状態を引き起こすこともあります。

 

 

摘出してきた脾臓がこちらです。

20cmを超えて大きく腫れており、見た目にゴツゴツと不整で、一部変色して壊死が疑われる部分もあります。

こちらを病理検査に送り、病理学的診断と後に抗がん剤が必要になった時のために遺伝子変異の検査をお願いしました。

 

【遺伝子変異について】

肥満細胞腫と一部の腫瘍では増殖の伝達に関わるc-kitというものの遺伝子の変異があり、

それが腫瘍の増殖に関連しているということが分かっています。

そして、この変異のある腫瘍では「分子標的薬」と呼ばれる抗がん剤が効果的であると言われています。

そのため、遺伝子変異があれば治療の選択肢が広がる可能性があるため検査を行います。

(分子標的薬にはc-kit以外の効果経路もあり、薬によっては変異がなくても使用することもあります。)

 

 

脾臓の肥満細胞腫は手術の反応が良い傾向にあることが分かっています。

コロッケちゃんはエコーと手術中の目視で、転移は認められませんでしたが、

腹水中に腫瘍細胞が確認されたことが心配です。

 

今後は術後の傷の経過と腫瘍の動向にしっかりと気を配って治療を進めていきたいと思います。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

腹腔鏡下肝生検を行っためかぶちゃん

診療日誌 2019.02.18 UP DATE.

先日、腹腔鏡下で肝生検を行ったのは、とっても元気なジャックラッセルのめかぶちゃんです。

めかぶちゃんは、去勢手術の時に肝臓の数値が高いことが見つかり、

追加検査で肝機能の低下が見つかりましたが、CT検査で大きな解剖学的な異常が見つかりませんでした。

依然、肝臓の数値が下がらず、肝臓で顕微鏡的な異常が存在している可能性があるため、

詳しく調べるために肝臓の一部を取ってきて検査を行う、肝生検の必要が出てきました。

 

一般的に肝生検には、

①体外から針を刺して取ってくる方法

②お腹を開いて直接肝臓の一部を取ってくる方法

③腹腔鏡を用いて肝臓の一部を取ってくる方法

がありますが、

犬・猫では①の方法では十分な量や質が取れず、診断がつかないことがあるため、

肝生検が必要な場合、②・③の方法を当院では実施しています。

 

腹腔鏡下の避妊手術のブログで書いていますが、

 

開腹手術と比べ、腹腔鏡下で行う主なメリットは

①切開創が小さいので侵襲が小さい
(小型犬では開腹手術と大差がないこともありますが、腹腔鏡を使用すると小型犬〜大型犬で傷の大きさがほとんど変わらないため、大型犬になればなるほど開腹との傷の大きさの差があります)

②体内での操作になるため、臓器を引っ張って体外に出すときの痛みがない

③腹腔内臓器が外気に触れることがなく臓器の損傷が最小限なので術後の胃腸機能の回復が早い

④肉眼で見られない深いところまでスコープで細かく見ることができる

⑤縫合時間の短縮で麻酔時間が短くなる

 

といったことが挙げられます。

デメリットとしては

 

①特別な機器が必要で機器が高額なので費用がかかる

②術者が特殊な手技を習得した人に限られる
(熟練していなければ手術時間の延長にも繋がります)

③長い鉗子を使うので手の感覚が伝わりにくい

④視野に限界がある

 

といったことが挙げられます。

 

特に肝臓を触る場合には、開腹と腹腔鏡では、傷の大きさがかなり違ってくるため、腹腔鏡が適していると考えられます。

 

めかぶちゃんも、検査目的なので極力本人に負担をかけないよう、腹腔鏡下での肝生検を選択されました。

 

カメラでお腹の中を覗いた画像です。

奥に横隔膜、手前に胃があり、中央に肝臓と胆嚢があります。

カメラでこんなにきれいに見えます。

 

そして、実際に肝臓の組織を取っている画像です。

肝生検は少し血が出るのですが、止血のために、ガーゼを入れることもできます(中央右)。

ガーゼは、万が一ですが、お腹に忘れて来てもわかるように、レントゲンに映る特殊なものを使用してます。

組織もしっかり採れ、出血もちゃんと止まったのを確認してからお腹を閉じました。

 

とった組織は病理検査に送って専門家に診断をしてもらいます。

めかぶちゃんは術後も特にトラブルなく経過してくれました。あとは診断を待つのみです。

 

肝臓の数値が下がらない、肝生検が必要みたい、ちゃんと治療をしてあげたいけど痛い思いは極力させたくない

そういう場合には「腹腔鏡」という選択肢があります。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

病院に来て急に立てなくなったのんちゃん

診療日誌 2019.02.02 UP DATE.

「先生、のんちゃんが受付で急に立てなくなりました!」

と急いで運ばれてきたパピヨンの、のんちゃんのお話です。

別件で診察に来られて、「元気に走って」病院に駆け込んできた後のこと、ということでした。

運ばれてきたときには、やはりフラフラしていて、若干ぼーっとした感じでした。

いつも病院に来ると元気に吠えたり、怒ったり、動く子なのに明らかに様子がおかしいです。

確認してみると、心雑音があり、血液の循環が悪くなっているようでした。

検査を進めると、「僧帽弁閉鎖不全症」があり、病院に来て興奮しすぎたことが原因で、

心臓性の発作を起こしたようでした。

肺も少し水が溜まったようで、肺水腫も起こしていました。

急いで利尿剤と強心剤の投与を行い、その日のうちになんとか回復して、自宅に帰って行きました。

 

僧帽弁閉鎖不全症は犬の心臓病で一番多い病気です。

多くは中・高齢で発症し、徐々に進行します。

のんちゃんも以前に軽度の心雑音を指摘されていました。

雑音の程度は軽度でも、今回のように性格や状況によっては、

興奮やストレスが原因となって発作を起こすことがあります。

一般的には、疲れやすくなったり、咳が出たりという症状が発見の最初の症状であることが多いです。

治療としては、心臓の負担を取る投薬治療が一般的ですが、

近年、手術で完治を目指すこともできるようになっています。

 

のんちゃんも頑張って薬を飲んでくれているので、しっかりと経過の治療を行いたいと思います。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

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