大事なお知らせ

ブログ・お知らせ診療日誌

リヴ動物病院のキャンペーンや日々の治療のこと、またはちょっとしたコラムなど。
様々な視点で日々を綴っていきます。

軟便がなかなか治らなかったダンクちゃん

診療日誌 2019.12.08 UP DATE.

ダンクちゃんは生後4か月ごろに保護施設から来たわんこです。

おうちに来た時からずっと軟便だということで、便検査をすることになりました。

検査の結果、ジアルジアという寄生虫が見つかりました。

子犬は消化管の寄生虫や細菌などに感染をしている子が多いです。

子犬で下痢が続くと重篤な状態になることもありますので、

様子を見すぎずに早めに病院で検査することをおすすめします。

 

さて、ジアルジアの駆虫は順調に終わったダンクちゃんですが、それでも軟便は続いていました。

そこで、次の手としてフードの変更をしてみました。

1つ目のフードは消化器の療法食。下痢が悪化してしまい、すぐにやめてもらいました。

2つ目のフードはアレルギーの療法食。ついに便が良くなりました!

はっきりしたことは血液検査をしないとわかりませんが、

おそらく食物アレルギーがあると考えられます。

 

軟便ひとつとっても原因は様々です。

長引く前にぜひご相談ください!

皮膚の腫瘍ができたレモンちゃん

診療日誌 2019.12.04 UP DATE.

皮膚にできものがあるとのことで来院したレモンちゃんです。

見てみると、左足に赤く盛り上がったできものがありました。

抗生剤や消毒の治療に反応がなかったため、切り取って病理検査に出すことになりました。

検査結果「肥満細胞腫」という皮膚の悪性腫瘍でした。

 

飼い主さんと相談して、皮膚の拡大切除手術後、3週間に1度の抗がん剤治療が始まりました。

時々小さなできものが見つかりましたが、それらは皮脂腺腫という良性腫瘍でしたので大丈夫。

レモンちゃん自身も至って元気ですので、今は何の問題もなく、治療が進んでいます。

いつも元気いっぱいでおしゃべりなレモンちゃん、これからも一緒にがんばろうね!

 

福岡メディカルパーク リヴ動物病院

爪の腫瘍ができたふくちゃん

診療日誌 2019.11.30 UP DATE.

先日、「爪を怪我している」とのことで来院したふくちゃんです。

見てみると、すでに爪が抜けてしまっている状態で傷口がジュクジュクしていました。

抗生剤の治療を始めて少しは改善しましたが、なんだか治りが悪い様子。

ふくちゃんもずっと足を痛がっているので、思い切って病変部を切り取る手術をすることになりました。

切り取ったものを病理検査に出したところ、結果は「悪性黒色腫」でした。

 

術後も少し治りが遅かったですが、今では痛みもなく歩けているとのこと。

まだまだ元気いっぱいなふくちゃん。

腫瘍に負けず、まだまだ楽しく暮らそうね!

 

福岡メディカルパーク リヴ動物病院

あの人気ゲーム機コントローラーの一部を飲み込んだミルちゃん

みなさんこんにちは、獣医師の中尾です。

年下の看護師さんがMD(ミニディスク)を知らなくて、

衝撃を受けました。笑

 

中学生の頃MDに曲名を書いたシールを、

貼っていたのが懐かしく感じます。

今はCDを挿入するだけか、ダウンロードしてしまえばいいので、

とても便利になったなと感じます。

 

 

さて本題に移ります。

シーズン関係なしにやってくる、

異物・誤食シリーズです。

今回は・・・・

Nintendo Switchのコントローラーのスティック部分に付ける

カバー(ゴム製だと思います)を飲み込んでしまったミルちゃんです。

 

 

 

 

病院が嫌だったのか目をそらされました。

もしかしたらいつも見ている先生と違ったので、怪しいと感じたのかもしれせん。

ただ単に僕のことが嫌いかもという考えは、辛いので消します。笑

(動物が好きで好きでたまらないのに、この仕事は嫌われることが多いです。片思いばっかです・・・)

 

飼い主様の判断が素晴らしくて、

飲み込んですぐ来てくださったので、

胃内に存在しているのが間違いなかったため、

注射を使った催吐処置を実施しました。

※当院で実施している処置に関して詳しく知りたい方はこちらを参照してください。

手羽元美味しかったよ・・・と満足そうなベルちゃん

 

ミルちゃんは余程気に入ったのか、

1・2回目の注射では吐いてくれず、

3回目のお注射で1回吐いてくれましたが、

胃液とフードだけ・・・

泣きの1回を追加してなんとか出てきてくれました。

面白いことにステックの部分を包んでた部分に、

しっかりフードが詰まっていました。

無事出てきてくれて良かったです。

 

子供の頃にしていたゲームの新作がスイッチで出ているため、

少し欲しいなと思っています。

サンタさんのお願いしときます。笑

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

左目が腫れて、右目も腫れてしまったカイちゃん

皆さんこんばんは。

獣医師の中尾です。

ラグビーバレー世界陸上ゴルフと、スポーツの秋らしく

色々なスポーツが盛り上がって、わくわくが止まりません。

(ブログ公開の頃にはもう終わっているかもしれませんが・・・汗)

 

人も動物も適度な運動は健康に直結するため、

せっかくなのでやる気があるうちに運動しましょう!!

 

今回両目が腫れて来院されたのは、カイちゃんです。

元々左目が先に腫れて治療して改善してきたと思ったら、

右目が腫れてきたとのことでした。

完全に目が閉じてしまっています。(痛くて開けられません)

開いている時でも、反対目に比べると半分くらいの大きさしかありません。

 

まぶたの裏(眼瞼結膜)は赤くなっていませんが、

ぶよぶよしています。(浮腫)

 

まぶたの裏を拭って顕微鏡で確認しました。

たくさんの細胞が確認できます。

炎症や感染がない場合はこんなに細胞が落ちてくることはほぼありません。

少し拡大して見てみると大半はウニョウニョした核を持つ好中球と呼ばれる細胞です。

左上に少し形態の違う細胞がありますが、おそらくまぶたの裏の細胞だと思います。(結膜上皮細胞)

 

細菌もほとんど認められず、左目に処方されていた抗菌薬の点眼も効果がイマイチな為、

まずは感染を疑い、感染症の遺伝子検査(PCR)を依頼しました。

 

クラミドフィラ・フェリスchlamydphila felis、猫のクラミジア感染症)が陽性でした。

細菌の仲間で猫でしか生存できない為、

基本的には多頭飼育や密度が高い環境下での飼育されている猫に多い病気です。

接触が主たる感染経路で、1歳以下の子猫に多く見られます。(どの感染症もそうですが・・・)

 

原因が特定できたのでお薬を処方しました。

(クラミジアに効く薬は、リヴでは飲み薬を処方しています。)

 

1ヶ月後です。

顔全体の写真を撮り忘れましたが、両目ともぱっちりお目目で、

目やにも減りました!

 

あまり繰り返す場合は、

猫ちゃんのワクチンに3種と5種がありますので、(病院さんによって少し異なるかもです)

クラミジアが入っている5種を接種することで、

発症予防や症状の軽減を狙ってみてもいいですね。

 

目やにや目の開き方どうですか???

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

急に元気と食欲がなくなったレオちゃん

先日、急に2、3日元気と食欲がなくなって、なんだかフラフラしていると来院したのは

羊みたいなカットのトイプードルのレオちゃんです。

歩き方をみてみるとどうもフラフラというより、なんだか右後ろ足に違和感があるようでした。

触ってみると明らかに右後ろ足を伸ばすのを嫌がりました。

もっとよく周りまで触ってみると、左のお腹のあたりが広い範囲で硬く腫れています。

そこでレントゲン検査とエコー検査を行ってみることにしました。

 

すると

 

腫れている部分の中心にはっきりと写る異物があります。

エコーでよく見てみると、この異物の周りに液体が溜まっていて、

それはお腹の中ではなく腹壁と皮膚の間であるようでした。

また、血液検査でもかなり激しい炎症が起こっていることがわかりました。

 

異物が金属様で硬そうで腹壁に穴を開けかねないこと、炎症が強く本人の状態が悪いことなどから即日手術となりました。

まずは異物の方にアプローチしてみると、筋間の膿瘍の中から針金(結束バンド?)のようなものが出てきました。

念のため、お腹も開いて確認してみると、

ちょうど膿瘍ができていた部分の反対側に小腸が癒着していました。

かなり怪しいので剥がしてみると

小腸に穴が開いて、膿瘍とつながっていました。

異物はなんとお腹の中から外に飛び出してきたもののようです!

最終的に小腸の一部切除と腹壁瘻管の切除・閉鎖、膿瘍の洗浄を実施しました。

 

術後は順調に元気に回復してくれました!

もう食べないでね!

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

お尻が気になるノエルちゃん

昨日から急にウンチを床に擦りつけたり、しきりにお尻を舐めたりしていると来院したのは、

サイベリアンみたいな立派な毛並みのノエルちゃんです。

毛並みも立派ですが体も立派で、太り気味でした。

お尻が痛いのかやや元気がないそうで、

下痢でもしてお尻が気持ち悪いのかと思いましたが、

うんち・おしっこに問題はなさそうとのことでした。

 

実際にお尻を見てみると

写真は軽い洗浄後ですが、うんちですっかりかぶれてしまっていました。

身体検査に加えてエコー検査、直腸検査を実施しましたが、少し肛門腺液が溜まっていた以外に著変はありませんでした。

 

以上のことから、今回のトラブルは毛足の長さと肥満によって、

」お尻が不衛生になってしまったことが発端ではないかと推測されました。

そこで、まず病院で綺麗にお尻周りの毛刈りと洗浄を行い、自宅でお尻周りのかぶれの治療を実施し、

さらに並行してダイエットを頑張ることになりました。

 

ダイエットは動物病院と飼い主さんが協力して一緒に頑張ることが成功の秘訣だったりします。

ダイエット頑張っていきましょうね!

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

肛門の周りが腫れたペコちゃん

皆さんこんにちは。

獣医師の中尾です。

最近肌寒くなってきて、窓を開けるのをやめました。

季節の変わり目なので、飼い主様もわんちゃん、ねこちゃんも、

体調崩さないように気をつけてください。

 

 

ドッグトレーニングから2週間ぶりにお家に帰ってくると、

肛門の周りが腫れているとのことで来院したペコちゃん。

 

お尻を気にしてなめているとのことでした。

見て見ると・・・

赤丸のところが肛門で、ピンク丸が腫れている部分です。

膿が出てきているのがわかります。

これではまだ見づらいので毛刈りをしました。

ピンク丸のところに穴(瘻孔)ができています。

また左下付近が青紫色に見えるため、内出血もあるかもです。

写真ではわかりませんが、触ってみるとコリっとした硬さ(硬結感)がありました。

 

場所と症状、そして穴から膿が出ているため右側肛門線破裂と診断しました。

肛門線についてはこちらのブログに載せているため見てください。

お尻を1週間ひきずって歩くわんこ

これが実際に絞った肛門線です。

右が右の肛門線、左が左の肛門線です。

粘土状で、流動性が少ない肛門線がでました。

白色の部分が混ざっているため、炎症が起こっていると考えられました。

 

実際に顕微鏡で見て見ると・・・(簡易染色、Diff-Quick)

たくさんの炎症細胞がとれてきました。

以上より、

肛門線貯留→肛門嚢炎(感染などが原因)→肛門線破裂→お尻の皮膚に穴形成

と考えられました。

 

洗浄実施し、抗菌薬と痛み止めを処方し、

治療終了としました。

 

10日後です。

穴(瘻)があったピンク丸で囲んでいるところは塞がってきました。

バリカンまけで気にしたのか、なめてしまったあとが

青矢印のところに見られます。

ただもうかさぶた(痂皮)ができているため、特に追加の治療はありません。

 

トリミングで絞ってもらっていない子は注意してくださいね!

お尻をこする、気にする子はすぐ相談してください。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

結膜炎と外耳炎の又八ちゃん(後編)

皆さんこんばんは。

獣医師の中尾です。

世界陸上を見て、走ろうかなと思いましたが、

家の猫に阻まれ(なでろなでろ攻撃を受けました)、断念しました。笑

そして大きく成長した又八ちゃんが来院されたことで、

後編をアップしていなかったことを思い出しました。焦

 

 

前回結膜炎についてお話しさせていただきましたが、

次に後編のお耳(外耳炎)です。

 

目と耳がぐちゅぐちゅしているとのことで来院された、

エキゾチックショートヘアーの子猫の又八ちゃんです。

左のお耳がぐちゅぐちゅで耳の周りの毛が汚れています。(耳だれ、耳漏)

 

耳だれを顕微鏡で見て見ると、

青色の丸いお団子みたいな細菌がたくさんとれました。

下の方の写真では、好中球(白血球の一員)が細菌をやっつけている(貪食像)のも

見つかったため、細菌性外耳炎と診断しました。

目と耳両方で感染がありそうなため、

抗菌薬の目薬と飲み薬を処方しました。

 

目は1週間後にばっちり治りましたが、

耳がいまいちよくなってませんでした。

 

そこで耳まで抗菌薬の効果が届いていない可能性と、

耳の細菌に抗菌薬が効いていない可能性(耐性菌の存在)を考えました。

細菌の検査は高価なこともあるため、先に点耳の抗菌薬を試すことにしました。

(飲んでいた薬と同じ種類の抗菌薬を点耳薬として処方)

 

1週間後耳垢も耳だれも半分くらいに減りました。

耳の中の細菌も減少していました。

しかし、そこから2週間経過しても完全に良化はしませんでした。

 

当院では毎回オトスコープ(耳の中を見るカメラ)を用いて耳の穴の中をチェックしています。

そこで耳の中をいつも通りにチェックしてみると

かなり見辛いですが、ポリープ状のものが確認されました。

最初の段階では確認できていなかったため、炎症が続いたためか?と考えました。

 

それから1週間後の再診で、

ポリープと耳垢は変わらずでした。

ひとまずいつも通りに掃除していた時に、

又八ちゃんがぶるぶる頭を振ると・・・・

 

ポロっと

何かが保定をしていた看護師さんの方へ飛んでいきました。

よく見てみるとポリープでした。

念のためポリープを病理組織学検査を実施しました。

(できものや内臓などを見てもらい、確定診断をする検査です)

結果は鼻咽頭ポリープでした

悪いものではないですが、再発することもあるため注意は必要です。

先天性(生まれつき)の可能性もあり、

もしかしたら最初の段階では小さくて見落としていたのかもしれません。

 

その後耳は劇的に改善し、ポリープの存在による構造的なトラブルが一番の原因だったと考えられます。

2ヶ月近く経った今も耳は落ち着いています。

 

今回はぽろっととれたため、良かったですが、

取れなかったり、多発(たくさん)性であれば手術も考えなければいけませんでした。

 

子猫を飼い始めた飼い主様の皆さん、

可愛いねこちゃんのお耳はきれいでしょうか??

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

金具を飲み込んじゃったSOYちゃん

みなさんこんばんは。

獣医師の中尾です。

ゴルフを始めたことで、3年ぶりに日焼けして、

健康的な肌になったなと感じる今日この頃です。

 

今回のテーマ、異物(誤食)は若い子に多い病気です。

特に誤食癖のあるわんちゃん、ねこちゃんは繰り返すことが多いです。

胃内異物であれば、吐かせる処置(催吐処置)や内視鏡、手術があり、

胃を超えて腸までいってしまうと、

内視鏡が届かないことがほとんどで、手術がメインになります。

 

今回服についているボタンの金具を食べてしまったとのことで来院されたSOYちゃん。

確認のためX線撮影すると、真ん中に周りより白く光るリング状のものが見えます。

X線では金属や骨が白く、水や空気が黒く見えるため、

胃内にボタンがあることがわかりました。

胃内に存在し、吐いても詰まったりする危険性が低いため、

催吐処置を実施しました。

 

当院では腕の血管(橈側皮静脈、人にもあるんですね!笑)に、

留置針と呼ばれる針を使ってプラスチックの管を血管内に入れます。

そこから催吐作用の効果がある薬を血管内に入れて吐くのを待ちます。

基本的には注射後5〜10分で吐きますが、1割未満の子で吐かない子がいるため、

その時は内視鏡を提案します。

催吐作用は帰る頃にはほとんど消えているため、大きな心配はありません。

帰宅後ご飯も普通に食べられます。

ただし、ごく稀に発作が起こることがあるため、てんかん(発作持ち)の子には使えません。

 

SOYちゃんもしっかり吐くことができて、下の写真のように

ボタンとプラスチックや繊維の破片がでてきました。

今回のように「食べた!」と思ったものだけではなく、

他のものもよく出てくるため、飼い主様が思っているより多く、

食べてはいけないものを食べていることが多いため注意しましょう。

また金属と違って、X線では発見が難しいのでお家での観察が大切です。

 

異物だけではなく、お薬や家族の方の食事やおやつなど、

わんちゃんやねこちゃんに有害なものを食べてしまうことも多いため、

注意していきましょう。

 

何か食べたのが間違いない時はできるだけすぐに病院にきてください。

時間が経てば経つほど腸へと進んでいき、手術が必要になってきます。

また腸に詰まって腸が腐ってしまったり(腸閉塞、腸壊死)、

腐った腸からうんちが漏れてしまって命に関わる可能性もあるため、

不安に感じたら気軽にお電話ください。

 

最大の予防は届くところに置かない!これが全てです。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

歯が自然と抜けちゃったパンチちゃん

こんにちは。

獣医師の中尾です。

寒さが厳しくなってきました。

体調を崩さないよう手洗いいうがいを忘れずに過ごしましょう。

 

今回は猫のパンチちゃんです。

歯が抜けてしまったとのことで来院されました。

下の写真が抜けた犬歯(一番尖っている歯ですね)です。

尖っている方が先っぽで、太くなっている方が根元です。

根元の方は歯の色が見えなくなっていて、歯石(歯垢が硬くなったもの)が付いています。

基本的には歯は丈夫なので、根元から抜けることは少ないです。

硬いものをあげることやケガで歯が割れたり、折れたりすることはあります。

以前は歯石予防のために硬いものをあげていましたが、

最近では歯を破損することが多いため推奨されていません!(特に小型犬は注意です。)

 

根元から抜けるということは、歯の周りがもろくなってしまっている可能性が高いと考え、

お口の中をチェック支えていただきました。

写真が見えづらくて申し訳ありませんが、

左側の上の犬歯も抜けた歯と同様に根元の方が変色しています。

また抜けた方の右側を見てみると、歯の根元があった部分が赤く変色しています。

※パンチちゃんはとても良い子でお口を見させてくれましたが、嫌がったり、怒ったりすることもあるため注意してください。

子猫の時から触って嫌がらないよう練習しとくのをお勧めしています。

 

レントゲンは撮影していませんが、歯根や歯槽骨(歯の周囲の骨)も溶けていると考えられました。

歯が自然と抜けるくらい歯周病が進んでいるため、歯科処置をすることとなりました。

※歯肉炎は歯や歯槽骨にまで病変が及んでいない状態で、歯周ポケットが形成されると歯周病になります。

 

当院の歯科処置は麻酔下にて実施しています。

無麻酔下でスケーリングを謳っている施設(動物病院ではほとんど実施しません)もありますが、

個人的には歯周病の治療・管理にはほとんど意味がないと考えられています。

 

見た目は綺麗でも歯周ポケットがズブズブだったり、歯周病と思っていたら口の中に腫瘍があったり、

なんてことも多々あるため基本的には麻酔をお勧めします。(持病がある場合は要相談です)

 

麻酔下で行うことで

  • 口の隅々までしっかり確認できる(正確な診断と治療につながります)
  • 処置中の怪我や誤嚥を防げる(口開けたままでじっとしてくれません)
  • ストレスが少ない(起きている状態で口の中をいじられるのは動物さんにとって苦痛です)

もちろん麻酔のリスクや費用の問題はありますが、

今後の動物さんの生活の質を上げていくためにはとても大事なことです。

 

歯科処置の流れとしては

  1. スケーリング(歯石や歯垢を超音波で削る作業です。歯医者でイメージする作業ですね。)
  2. ルートプレーニング(歯茎の中=歯周ポケットのお掃除、ここが歯周病の進行に大きく関わります)
  3. ポリッシング(歯の表面についた細かい傷を滑らかに仕上げる、これしないと余計に歯石が付くはめに)

無麻酔下だとスケーリングまでが限界です。(それも超音波の器械でなく削り落とすだけなので、歯の表面はざらざらです)

気持ち的には表面が綺麗になるため、すっきりするかもしれませんが・・・

 

少し長くなったので、ここらへんにしといて

実際の歯科処置時のお口の写真です。(麻酔がかかっています)

診察の時には確認できなかった臼歯(犬歯より後ろの歯)も確認できました。

赤丸が歯周病部分、青丸は歯肉炎もしくは正常部分です。

歯周ポケットの深さや歯茎の状態から上の歯は左右共に抜歯しました。(切歯=前歯は残しています)

 

3週間ちょっと経ったパンチちゃんです。

食べる時の食べづらそうな感じや、口臭がなくなったとのことでした。

もちろん歯科処置後、2〜3日は麻酔のストレスや口の違和感はあります。

パンチちゃんはとても良い子なので、大人しかったんですが、

僕の下手なカメラワークのせいで少しブレています。笑

言い訳すると写真を撮るにはiPadは少し大きいです・・・

 

そんな話は置いといて、歯茎の赤みが消えているのが確認できると思います。

自然に抜けた左上の犬歯の部分はまだ赤みが残っているため、

もう少し時間がかかるのか、下の歯に接触しているのかもしれません。

飼い主さんとパンチちゃんが満足してくれて何よりでした。

 

わんちゃん、ねこちゃんの高齢化が進む中、

歯科処置が必要な子がどんどん増えてくると思います。

いざ気になったり、症状が出たりした時に、

高齢で(15歳とか)麻酔のリスクが高いため処置に踏みきれない子や、

持病の影響で処置に踏みきれない子なども沢山見てきました。

気づいた時にできるよう、日頃からお口のチェックやデンタルケアをしましょう。

処置に興味がある方は実際にお口をチェックしてお話しますので、

ご気軽に相談ください。

 

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

食物アレルギーのリッキーちゃん

診療日誌 2019.10.17 UP DATE.

目や口の周りの「かゆみ」に悩まされているリッキーちゃん。

診察で行った検査では、感染症はありませんでした。

そこでアレルギー検査を実施したところ、食物アレルギーであることが判明しました。

しかも、鶏肉や羊肉や小麦など13種類の食物に反応していました。

リッキーちゃんの場合、今まで食べたものとは違うタンパク源を含むフードに変えることで、かゆみを無くすことができました。

しかし最近、またかゆみが出てきたので、飼い主さんと一緒に次の作戦を立てているところです。

 

柴犬はアレルギーやアトピーを持っている子が多いです。

それ以外の犬種の子でも、目や口の周りが赤くなって、かゆがっている場合はアレルギーかもしれません。

原因が何なのか、どうやってかゆみを抑えるのかなど、ぜひ診察でご相談ください。

 

福岡メディカルパーク リヴ動物病院

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