大事なお知らせ

ブログ・お知らせ診療日誌

リヴ動物病院のキャンペーンや日々の治療のこと、またはちょっとしたコラムなど。
様々な視点で日々を綴っていきます。

足を火傷したぷりんちゃん

診療日誌 2020.03.11 UP DATE.

先日、足を火傷したとのことで来院したぷりんちゃんです。

前日の夜にストーブの上に飛び乗ってしまったそうです。

診てみると、両後ろ足を火傷しており、とても痛そうな様子です。

飼い主さんがすぐに冷やしてくれたおかげで、ひどい傷にはならずに済みましたが、

完治までに2週間くらいかかりました。

 

毎年寒い時期には、火傷になった子が来院します。

ストーブには近づきすぎないように周りを囲ったり、置き場所に気を付けたりしましょう。

「毎年何も起こってないし、この子は大丈夫」と油断せずに、事故対策をしましょうね!

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

ウンチから虫が出てきたミクちゃん

診療日誌 2020.03.06 UP DATE.

先日、「うんちが柔らかくて、中に繊維質のもの?が混ざっている」というミクちゃん(猫)の検便をしました。

 

見てみると、便の中に白っぽい虫がにょろにょろ入っています。

 

顕微鏡で見ると、虫卵もたくさん入っていました。

すぐに駆虫薬を注射して、すべての虫が出てくるのを待っているところです。

 

元野良猫さんは、外で暮らしているときにカエルやネズミなどを食べて寄生虫に感染してしまっていることがあります。

保護した猫さんの軟便や下痢が続く場合は、おなかの中に寄生虫がいるかもしれません。

特に仔猫さんの場合、寄生虫が原因で衰弱する可能性もありますので、注意が必要です。

おうちに連れて帰ったら、一度は病院で便の検査をしてもらいましょう!

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

血尿が出たリリちゃん

こんにちは。

獣医師の中尾です。

 

福岡に帰ってきたからの初雪は佐賀で見ることになりました。

雪をみてはしゃいでしまう気持ちを忘れずにいたいなと思います。

ちなみに寒いのはあまり得意ではありません。

 

さて今回はわんちゃんの血尿です。

今回顔写真を撮り忘れるミスをしました・・・

ヨーキーのリリちゃんです。

 

当院のペットホテル中に血尿を確認し、検査をおこないました。

血尿は下の写真のように赤色というよりはどす黒い色をしていました。

遠心(重いもの=細胞や細菌などを沈める作業)するとかなりの量の沈殿物が確認され、

上澄もやや黒さが確認されました。

 

顕微鏡で確認すると、沢山の物が確認されました。

健康時の尿にはここまで沢山見えることはありません。

また尿はアルカリ性になっていました。(健康時はやや酸性=中性です)

細菌も沢山存在してしていましたが、結晶(結石のもと)はありませんでした。

 

 

超音波で膀胱を見てみると、

ピンクの丸で囲ったのが結石になります。

黒い部分が膀胱内の尿なので、膀胱結石になります。

左の写真の膀胱結石は写真下に向かって結石から黒い帯のようなものが出ています。

これは超音波からでるビームを結石が反射して、

結石より下の物が映らなくなる現象です。(シャドーと言います)

 

以上の所見から細菌感染及び膀胱結石を伴う膀胱炎と診断しました。

治療は抗菌薬と食事療法を始めました。

結晶がある場合はそれを見て、食事療法だけで治療可能か手術が必要か判断します。

(例:ストルバイト→ご飯で溶ける、シュウ酸カルシウム→ご飯で溶けない)

 

食事に関しては、今回はリリちゃんの食いつきの良かった、

ヒルズのメタボリック+ユリナリーを選択しました。

 

1週間後には症状もほとんどなくなり、

(膀胱炎の症状は頻尿、血尿、しぶり、お水をよく飲むなどがあります。)

尿のPH(酸性かアルカリ性かを見る数値で、7が中性です)は、

治療前が9.0(アルカリ性)→治療後6.5(酸性)になりました。

見た目も綺麗になったことがわかります。

 

現在はご飯だけ続けてもらって、3ヶ月程経ちますが、今もおしっこは順調です。

膀胱炎は犬では感染を伴うことが多く、猫では感染を伴わないことがほとんどです。

女の子は陰部から膀胱までの距離が短いため、膣の細菌が感染しやすいと考えられています。

 

結石や結晶は食生活が大きな原因の1つです。

おやつを沢山食べたり、人の食べ物をあげたりすることも注意です。

良かれと思ってミネラルウォーターを飲ませるのも控えてください。(特に硬水)

結石や結晶はそれ自体が膀胱の壁を傷つけて、感染しやすくなるだけではなく、

男の子では尿道に詰まり、おしっこが出なくなる場合もあります。(=尿道結石)

膀胱炎で発生する細胞やタンパク質が詰まることもあります。

 

どちらの場合にせよ、おしっこが出なくなることは緊急疾患です。

遅くても1日近くおしっこを確認できないなら、病院へ来てください。

トイレに何度も行くやおしっこの姿勢をとるがおしっこ出ないのを確認した場合は、

排尿障害の可能性があるため、待たずにすぐ来てください。

 

おしっこはお家で簡単に確認できるため、注意して見る様にしてください。

ご質問などある場合はリヴ動物病院まで。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

数日食欲が落ちて、お水を良く飲むジュリちゃん

数日前から食欲が落ちてきて、ここ2、3日はほとんど食べていない、水だけはたくさん飲む、

陰部から血のようなものが出ている、と連れてこられたのは、ぽっちゃりなボーダーコリーのジュリちゃんです。

お腹にエコーを当ててみると、

少し詳しい方なら、症状で「これはあれかも!?」と思われるかもしれませんが、

子宮内に感染を起こして膿が溜まる、子宮蓄膿症でした。

命に関わることもある怖い病気です。

お水をたくさん飲んでいたのは、炎症と細菌の出す毒素の影響からでした。

よほどの事情がなければ、主な治療法は卵巣子宮の外科摘出になります。

 

全身チェックを行って、手術可能な状態でしたので、飼い主さんとお話しして、即日手術となりました。

Mの字型に出ているのが子宮です。

術者の手と比較しても分かる通り、大きくパンパンに腫れています。

緊急手術であったことと、ぽっちゃりさんであったことから、

少し手術は手こずりましたが、問題なく手術は終了しました。

 

原因の子宮を摘出したことで、術後は順調に回復してくれました。

 

基本的に子宮蓄膿症は救急疾患です。早く処置をしなければ、状況は悪化していきます。

臓器不全を起こしたり、ショックを起こして、亡くなることもあります。

症状はどれも必ず出るわけではありませんが、

避妊していない女の子

・元気・食欲がない

・お水を急に良く飲むようになった・おしっこの量が急に増えた

・吐く

・お腹が張っている

・陰部から膿、血のような異常な分泌物が出ている

(陰部からの分泌物を下痢・血便だと勘違いされることもあります)

などの症状を示している場合は早めに診察を受けてください。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

耳が痒い子犬のアルちゃん

こんにちは。

獣医師の中尾です。

健康診断が終わってから、ジムをサボっているため、早く復帰しないとと焦っています。

まずは3キロ落としたので、今年は体脂肪を落として筋肉をつけたいと思います。

 

今回は耳がかゆいと言って来院されたアルちゃんです。

見てみるとも耳垢がたくさん付いており、

耳道も赤くなっていました。

外耳炎と診断されますが、原因を治さないと再発するため、耳垢を調べることにしました。

原因には

  1. アレルギー性疾患(食事アレルギー、アトピー)
  2. 耳ヒゼンダニ症
  3. 腫瘍
  4. 異物や刺激(植物、シャンプー、毛抜きなど)

があります。

 

耳垢を見てみると

ど真ん中に明らかに虫みたいなものいます。(節足動物です)

これが耳ダニ(ミミヒゼンダニ)です。

少し拡大して見てますが、こんな感じで耳垢(写真のほぼ全てを占めている茶色部分です)の中にいます。

 

もちろん耳ダニだけではなく・・・

上2つの写真は耳垢を、簡易染色(diff quick)と呼ばれる方法で染色したものです。

それを顕微鏡で見ています。

紫色で雪だるま(ボーリングのピン)のような形をした物が沢山確認できますが、

これがマラセチアというカビ(酵母様真菌)です。

 

マラセチアは常在菌で皮膚・耳に存在します。

単独で増殖することはほとんどなく、何かしらの素因があって増殖することが多いです。

素因としては

  1. アレルギー性疾患(食事アレルギー・アトピー)
  2. 耳ダニ
  3. 刺激・異物

などがありますが、今回は耳ダニがいたためその治療から開始しています

基本的には駆虫のお薬を(当院ではスポットタイプを使用)、

2〜3回くらいの処方で治療終了になることが多いです。

しかし、中にはもっと時間がかかる場合もあるため継続した耳垢の検査が必要になります。

 

また実はアレルギーもあるが耳ダニもいたパターンもあるため、

治療後にも耳垢が多かったり、痒みを生じたりする場合はアレルギーを疑います。

 

シャンプーしてから〜とか草むらに顔を突っ込んでから〜などの情報があれば、

シャンプー剤による刺激や種子などが異物として存在を考えます。

 

今回はその後3回目の処方が終わった頃には耳ダニも確認できず、

耳の中も綺麗なため耳ダニ症による二次的なマラセチアの増殖と判断しました。

 

 

補足です。

本格的に寒くなり、人も動物も体調を崩しやすいので気を付けましょう。

ねこちゃんは水の飲む量が減り、膀胱炎や尿道閉塞が多いシーズンなため、

おしっこ出ているか、変な色じゃないか、トイレに何回もいってないかチェックしましょう。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

涙やけのひどいテトちゃん

先日、去勢手術で来院した、とっても懐っこいテトちゃんです。

よく見ると目頭のところの毛が茶色く湿っています。「涙やけ」とよく言われる状態です。

涙やけに悩んでいる飼い主さんは多いので、

術後の麻酔から覚めるまでに、せっかくだから眼の周りをきれいにしようね、

蒸しタオルとクシを用意しました。

いざ眼を見てみると、

下まぶたの目頭側のあたりの毛が、まぶたの内側に巻き込まれていました。

涙やけ、というか涙が溢れてきている原因は、「眼瞼内反症」だったのでした。

 

眼瞼内反症は、まぶたが名前の通り内巻いている状態で、先天性のことが多いです。

まぶた全体で起こることもあれば、今回のように一部だけということもあります。

症状は、涙が溢れるだけのこともあれば、結膜や角膜に影響が出ることもあります。

根本的な治療は、まぶたを外に向かせる手術になりますが、

軽度の場合は、刺激している毛を抜いたり、目薬をさして治療することもあります、

 

今回は偶然(というわけでもないですが)初めて見つかった軽度のものだったので、

入り込んでいる毛を寝ている間に抜く処置を行い、今後の経過をみることにしました。

 

去勢手術の抜糸の際には、涙がかなり改善していました。

今後の経過次第で、治療方針を考えていこうと思います。

 

涙やけは原因がはっきりしないことも多く、非常に厄介ですが、

今回のようによく見てみるだけで原因がわかることもあります。

涙やけで悩まれている方は、ぜひ一度診察を受けてみられてください。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

麻酔下外耳処置を行った虎太郎ちゃん

麻酔下で外耳の処置を行った、元気いっぱい虎太郎ちゃんについてです。

以前より慢性外耳炎を患っており、定期的に耳掃除が必要でしたが、

ある時を境に、右側の外耳炎だけ、なかなか治らなくなってきました。

そのある時とは、右の耳道の奥に黒い塊が見つかって、普通の洗浄でそれがなかなか取れないね、

となったあたりでした。

普通に耳の洗浄をしてもダメなので、

無麻酔で耳鏡下のカテーテル洗浄を行ってみたり、

特殊な洗浄液で汚れが溶けないかやってみたりしましたが、

全く塊は取れませんでした。

 

塊の奥にしこりがあったりする可能性もあるので、

その精査も含めて麻酔科での外耳処置を実施することになりました。

画面の下側に黒い耳垢の塊が見えます。

鼓膜は辛うじて見えている状態です。

 

オトスコープで見ながら、カテーテルを塊のところまですすめ、

直接ピンポイントで行う洗浄をしばらくすると、ついに塊が動き、流れ出てきました。

これでかなり耳の中は綺麗になりました。

恐れていたしこりもなく、おそらく画面右に見えている毛に汚れが絡み付いてたようでした。

 

麻酔をかけるなら一緒に歯科処置も済ませたい、というご希望でしたので、

耳がしっかり綺麗になってから歯科処置に移りました。

耳ばかり見ていましたが、歯石と歯周病がありました。

歯石を取ってみると、上顎の臼歯が破折していました。

露髄(いわゆる「神経」が露出)しており、この歯だけ特に歯周病が進行していたため、抜歯も行いました。

綺麗になりました!

 

歯も耳もすっきりして帰った虎太郎ちゃんですが、外耳炎も落ち着き今のところ良い状態です!

同じ状態にならないように、引き続きケアを続けていきたいと思います。

 

なかなか耳の奥の汚れが落ちずに外耳炎が治らない場合には、

麻酔をかけての処置が有効なことがあるよ、というお話でした。

 

福岡動メディカルパーク リヴ動物病院

発熱をしてやってきたリリオちゃん

先日、前日から急に吐き始めて元気と食欲が無いと来院した、少し怖がりのリリオちゃんのお話です。

来院時は触っただけでわかるくらいの発熱があり、直腸温を測ってみると40℃以上ありました。

呼吸もやや早く、SIRS(全身性炎症反応症候群)の可能性が高いと判断し、急いで検査をしました。

(写真は来院後そんなに時間が経っていない時の写真ですが、明らかに目がうつろで顔に余裕がありません。)

調べてみると、総白血球数が低下しており、SIRS状態と判断しました。

 

SIRS(全身性炎症反応症候群)とは、

感染などの侵襲(内から外から問わず)によって起こった炎症が、

全身性に影響を及ぼしている状態で、コントロールできなければ多臓器不全も起こし得る危険な状態です。

 

迅速エコー検査で腹水貯留が認められたため、腹水検査を実施し、細菌性腹膜炎と診断しました。

急性の細菌性腹膜炎で一番多いのは消化管穿孔です。

穿孔の有無の確認と腹腔内の洗浄が早急に必要と判断し、

そのまま試験開腹を実施しました。

腹膜炎により消化管は真っ赤になっていました。

怪しい部位はありましたが、明らかな穿孔部位は確認できなかったため、消化管の切除等は行わず、

しっかりお腹の中の洗浄を行い、排液ドレーンを設置して、手術を終了しました。

針の穴ほどの小さな消化管穿孔の可能性が高く、

抗菌剤の投与と腹水のコントロールで穿孔部位はそのまま塞がるのではと考えました。

状況によっては再度開腹の可能性もありましたが、

なんとか数日で排液が減り、熱も下がり、元気になりました。

まだ、消化管のダメージが回復しきっていないので便が柔らかいのですが、じきに良くなるはずです。

 

早めに来院していただいたので、処置もすぐ出来て回復しましたが、来院が1日遅れていたら助かっていなかったかもしれません。

発熱は本当に怖いな、というお話でした。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

左目が飛び出そうだったちびちゃん

あけましておめでとうございます。

獣医師の中尾です。

この投稿が公開される頃には年明けからだいぶ経っているかもしれませんが・・・

今リヴ動物病院は、飼い主様の待ち時間短縮のため色々な対策を立てています。

リヴをかかりつけにしてくださってる方々に、

少しでも快適な時間を過ごしていただけるよう全力を尽くすので今年もよろしくお願いします。

 

友人とカラオケ行ってから喉を痛めてしまったので少し凹んでいます。

今お餅を食べたらつまりそうです・・・

 

今日紹介させていただくのは、子猫のチビちゃんです。

保護したところ、左目が腫れているとのことできました。

これが来た時の写真です。

健康な右目に比べ、左目は角膜(目の表面コンタクトはめたり、レーシックしたりするところ)が白濁しており、

中央部に肉芽組織(赤いもりもりした部分、傷を塞ぐ時に)を確認、

そして瞬膜(=第3眼瞼、寝ている時に出てくるやつですね)の充血&腫れがあります。

横から見ると目を閉じられないくらい腫れているのがわかります。

 

目やにの細胞診(目やにを顕微鏡で見ること)をすると、

好中球(白血球の一種、感染や炎症に対して増える、「はたらく細胞」では細菌をやっつけてますよね)の増殖、

細菌の貪食像(好中球が細菌をやっつけていること、パックマンが丸を食べているイメージです)が確認されました。

 

原因としては、

  1. 外傷
  2. 感染症(細菌、ウイルス、真菌)
  3. 先天性疾患の悪化(1や2を併発)

などが考えられました。

 

細胞診から細菌がいることは確認できましたが、

子猫であるためウイルス性(ヘルペスウイルスやカリシウイルスが有名ですね)が

原発疾患(原因となる病気のことです)であることも考えられました。

ウイルスを診断するためには、基本的には遺伝子検査が必要になります。(1週間近くかかります)

今回は飼い主さまと相談し、検査せずに治療することとなりました。

傷が重度であり、破裂する(した?)リスクもあるため、エリザベスカラーを着けました。

元気があり、点眼も大変かもとのことで、

最低限細菌感染を悪化させないよう抗菌薬の目薬を処方しました。

※目薬は嫌がる子が多いため、なるべく尻尾の方から顔を支えてしてあげる方がやりやすいです。

 

今回の治療のまとめ

  1. エリザベスカラー
  2. 抗菌薬の目薬
  3. 目の洗浄

 

これが5日後の写真です。

目の腫れも少し引いており、角膜の白濁も薄くなりました。

 

そして3週間後

目の腫れはなくなっており、肉芽組織でピンク色だった部分は正常な角膜に変化していました。(まだクレーター状)

食欲も旺盛で体重も300g増えていました。

 

もしかしたら完全に白濁が消えることはないかもしれませんが、

ひとまず目を失う(視力は不明)事態は避けられました。

 

目の傷は予想以上に進行が早く、本人が気にしてひっかくことで、

最悪眼球瘻(眼に穴があいて破裂し、眼球が潰れてしまうこと)や失明に至ります。

いつもと違う目やに(色・量)や涙の増加、ウインクするように目をつむってしまう・半目になっているなどは、

目の病気にかかっているかもしれないため、

様子を見ずにすぐに病院に連れて来て下さい。

また避妊・去勢時にエリザベスカラーを持って帰った子は、

すぐに着けてさらなる目の悪化を避けるようにしてください。

何か気になることがあればすぐにご連絡・ご質問して下さい。

 

福岡動物メディカルパーク  リヴ動物病院

 

ペットシーツをかじって食べちゃったふくちゃん

みなさんこんばんは。

獣医師の中尾です。

 

先日出張で初めて青森を訪れました。

到着日はまさかの気温マイナスで、初雪を見ることができました。

福岡と10度以上気温差があるため、とても寒いはずでしたが、

そこは雪でテンション上がったため難なく乗り切りました。笑

2日目以降は寒かったです・・・泣

素敵な場所だったので、また訪れたいです。

豆情報ですが、青森用に初めて買ったGUのダウンめっちゃ暖かかったです。

 

今回はペットシーツを食べてしまったふくちゃんです。(誤飲、異物)

検査や注射は苦手ですが、待合室ではこのように人懐っこい可愛いわんちゃんです。

 

どのくらい食べたのかなと思って、飼い主様が持参してくださったペットシーツを見てみると、

中の吸水ポリマーが全部なくなっていました。

 

超音波検査(エコー)で胃の中を見てみると、

胃の中に内容物があるのが認められたため、催吐処置(吐かせる処置)を実施しました。

すると、ご飯数粒とシーツの残骸が出てきました。

 

食べた時間が不明だったため、腸内へ流入したかもしれませんが、

無麻酔で出来る処置はここまでなため、注意して様子を見てくださいとお伝えしました。

(もちろん超音波にて、明らかな腸内閉塞がないことを確認しています。)

 

処置の方法や異物・誤飲の危険性に関してはこちらに記載しているためご確認ください。

手羽元美味しかったよ・・・と満足そうなベルちゃん

 

これからクリスマス・お正月シーズンが到来すると、

わんちゃんやねこちゃんが誤飲する可能性が増えてきます。

家族以外の人がおやつとしてあげるかもしれません。

楽しいイベントで気が緩みがちになると思いますので注意してください。

 

福岡メディカルパーク リヴ動物病院

 

耳の中にポリープが出来たアイスちゃん

今回は、耳から汁が出ると来院した、小柄なパグのアイスちゃんのお話です。

話だけ聞くと、アイスちゃんは慢性外耳炎を患っているので、その再発かと思われました。

そこで、当院自慢のビデオオトスコープシステムで耳の中を覗いてみたところ…

犬猫の耳道(耳の穴)は折れ曲がっていますが、

(外から入ってすぐを垂直耳道、折れ曲がって鼓膜までを水平耳道といいます。)

その折れ曲がった先の水平耳道内にピンク色でドーム状のしこりがあり、

その周囲に膿様の液がたまっていました。

しこりは充満性で、上の図のように、そこから先が覗けず、

しこりがどこから出てきているのかはわかりませんでした。

液を検査してみると、細菌・酵母の感染があったため、

感染による炎症性に発生している可能性を考え、

まずはそちらをしっかり治療することにしました。

外耳洗浄に点耳薬・内服薬を併用して、汁の排出は落ち着きました。

しかし、しこりに変化はありませんでした。

 

レントゲン検査でも耳道内にしこりが充満していることが確認され、

治療で改善もないことから、しこりの細胞の検査(生検)が必要と判断し、

麻酔下でビデオオトスコープを用いて組織の採材を行うことにしました。

何をするかというと、簡単に言うと、

カメラで覗きながら、鉗子でしこりの一部をちぎってくるのです。

カメラに内視鏡と同様に鉗子を通す穴が開いているものもあるのですが、

今回は組織を大きく取るために、細いカメラを入れて、

その脇から太い鉗子を差し込んで採材する方法をとりました。

実際に実施してみると、なんと、一部ではなく腫瘤のほぼ全体がズボッと抜けてきました。

これでやっと腫瘤の全体像がはっきりしました。

鼓膜の直前の耳道の皮膚から発生し、水平耳道にほぼ充満していたようでした。

鼓膜より内側から発生していることもあるのでヒヤヒヤしていましたが、

鼓膜は無事でした。

細かいところをきれいにして、しっかり洗浄を行い、処置を終わりました。

取れた腫瘤は病理検査にまわしました。

 

ビデオオトスコープがなければ

CT検査をして場所を確認して、耳の切開をして取るか、

盲目的に鉗子を入れて取るという危ないことをするか、

など負担をかける可能性があったので、

最小限の負担で処置ができてよかったです。

 

アイスちゃんは日帰りで元気に帰って行きました。

良性であるように見えましたのが、病理検査の結果待ちです。

今後の治療が重要なので、しっかり見ていきたいと思います。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

左腕にカビ(糸状菌)が感染したゆめじちゃん

体重が2kg減ったのが嬉しかった今日このごろです。

 

今回は左腕の内側がなめてしまってハゲてしまったとのことで来院された

猫のゆめじちゃんです。(可愛いお顔の写真撮り忘れました・・・)

 

なめたのが先か、ハゲたのが先かで疑われる病気は異なることもありますが、

今回はわからないとのことでした。

(たいていわからないことが多いです。)

 

見た目はこんな感じです。

毛は抜けていて、皮膚はやや赤くなり、表面にかさぶたがあります。

(脱毛、紅斑、痂皮あり)

 

抜毛検査(毛を抜いて顕微鏡で見る検査)では何も異常は認められませんでした。

カビ(皮膚糸状菌)も考え、UVライトを用いて照らしてみるとうっすら陽性反応がありました。

※正式な検査機器はウッド灯を用いますが、UVライトで代用しています。

 

皮膚糸状菌は毛に生息している菌の皮膚への侵入で起こります。

接触や毛が舞うことで感染がひろがります。

健康な子でも保菌していることもあるため、注意が必要です。

 

皮膚糸状菌症で一番覚えててほしいのは、

人獣共通感染症(ズーノーシス)であるということです。

人に感染る可能性があるため、消毒や手洗いには気をつけてください。

特にお子様やお年寄りの方がいらっしゃるご家庭はより注意してください。

これは僕自身の経験ですが、女性の方に感染ることが多い気がします。

(お世話の頻度や在宅時間の問題かもしれませんが)

主に腕に赤い斑点(10円玉から500円サイズが多いです。)ができた場合は、

人の皮膚科に行ってください。(動物を飼育していることを告げてください)

 

本題に戻りますが、

糸状菌の一つであるMicrosporum canisという菌が、

猫の糸状菌のほとんどの原因になります。

その中でもライトに反応する菌は約半数なので、

誤診を避けるためにも糸状菌用の培地を用いて診断することにしました。

 

この培地に糸状菌が生えると黄色の培地が赤く変色することが特徴です。

最大2週間程度判定まで時間がかかることもあるため、

その間は先に治療するか、待ってもらうかになります。

今回は飼い主様と相談し、カラーをつけてもらい、検査結果を待つことにしました。

舐めることでより酷くなるのや、感染が広がるのを防ぐためです。

 

5日後の写真です。

黄色の培地が赤くなっていることがわかります。

これで糸状菌症と診断し、抗真菌薬を処方しました。

 

1か月後です。

まだうっすら毛は薄いですが、綺麗に毛が生えてきました。

あとは毛が生え変わるのを待つだけなので、これで治療終了と判断しました。

 

子猫や、ストレスを抱えた猫、病気を治療中の猫(特に免疫抑制中)は発症しやすいため、

注意してみてあげてください。

気になったらご気軽に病院に相談ください。

 

補足ですが、

病院スタッフで一番感染する人獣共通感染症は糸状菌だと思います。

まだ自分はかかったことがないため、どんな感じかお伝えすることができません。笑

飼い主様やスタッフからの情報だと、少しかゆい程度ですぐに治らないイメージです。

ペットを飼育していることを伝えておかないと、軟膏だけ渡されて、

全然改善しないこともあるため、必ず伝えるようにしてください。

 

福岡動物メディカルパーク リヴ動物病院

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